鹿児島県出水市の養鶏場でHPAIの疑似患畜が確認された問題に関して、その遺伝子検査が完了し、陽性が確認されました。原因のウイルスはH5型とみられ、鹿児島県は午前5時から、この養鶏場の採卵鶏約3万8,500羽の殺処分を開始しています。
令和3-4年鳥インフルエンザ情報(随時更新)
鹿児島県は鶏の死の悲嘆を押し殺し、甚大な経済損失を懸念
この陽性確定により、HPAI禍が発生した同市平和町の採卵鶏養鶏場から半径3kmの移動制限区域と半径10kmの搬出制限区域にはあわせて119の養鶏場があり、飼育羽数は約552万羽にのぼるとされており、全国有数の養鶏集積地の出水市では激震が走っています。国内屈指の「養鶏大国」を自負する鹿児島県は、陽性が確定する前から、他の追随を許さない迅速「24時間以内殺処分」宣言をするなど、鶏の命の尊厳を無視したともとれる、経済最優先の対応に意気込んでいる模様です。
ツルのねぐらと工業的養鶏の集積で出水市そのものがさながら「HPAI弾薬庫」状態に、言い訳の余地許さず
出水市は、越冬のために海外から飛来するナベヅルやマナヅルなど多種多様なツルが飛来する「ツルのねぐら」があることでも全国的に有名ですが、そのツルのねぐらの水からも、11日にH5亜型のHPAIウイルスが検出されました。そのような場所に、関西のディスカウントスーパーにもケージ卵や鶏肉が大量出荷されるほどの大規模な工業的養鶏が集積した出水市の現状は、さながら「HPAI弾薬庫」であり、今回、ツルのねぐらからのウイルス検出からまもなく、その弾薬庫が「炸裂」した状況といえます。感染経路はまだ未定で、今後の調査で明らかにされるとみられますが、いずれにせよ、今後、鹿児島県の農業が生き残り、養鶏のブランドを維持するには、百歩譲ってもEUのような飼養羽数が1〜2桁少ないケージフリー養鶏や畜産以外の農業への転換による工業的養鶏からの脱却という一択を迫られるのは必至の情勢です。
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