28日、贈賄側が秋田善祺被告(アキタフーズ(広島県福山市;ケージ採卵養鶏国内2位)元会長)、収賄側が吉川貴盛被告(元農林水産大臣)となるアキタフーズ-元農水相贈収賄事件に関しての初公判が東京地方裁判所で行われました。
アキタフーズ-元農水相贈収賄事件は、国際獣疫事務局(OIE;以下、OIE)がアニマルウェルフェア国際基準の厳格化を進めることに危機感をもったアキタフーズの当時の会長、秋田善祺被告が、農水大臣就任後間がない吉川貴盛被告に対して、日本政府としてアニマルウェルフェア国際基準厳格化に反対してもらうための「口止め料」として200万円を渡したというものです。(吉川元農水相の在任期間外とみなされる時期(公職の地位権限が関わる、違法性のある贈収賄とはみなされない)も含めると、秋田被告が吉川被告に手渡した総額は、1,800万円にも及んだとされています。)アキタフーズの元会長だった秋田被告は、「(OIEによって、アニマルウェルフェア国際基準が厳格化されると)アキタフーズだけではなく、我々と同じケージ採卵養鶏を営む同業者に、従来のバタリーケージからケージフリー化への転換に関しての莫大な負担が生じ、窮地に追い込まれるので、ケージ採卵養鶏業界全体のためにやった」と、自身のロビー活動を正当化していました。
今回の初公判では、検察側が「吉川被告とトイレで会った際、秋田被告は吉川被告の上着のポケットに、『これは大臣就任のお祝い金です』と、200万円をねじ込むように渡した」と、生々しい贈賄の様子を説明すると、秋田被告は、この検察側の説明に関して「間違いありません」と、容疑を認めました。
この贈収賄事件は、日本の農林水産行政(国政)で根強くある関連業界のロビー活動(関連業界による国政への圧力行動)によって、いまだに残酷なバタリーケージ養鶏が圧倒的多数を占めているという、アニマルウェルフェア後進国としての日本の愚かな実態を象徴するものであるといえます。ロビー活動による圧力は農林水産行政に限っても、世界の動きに逆行するネオニコチノイド系殺虫剤やグリホサートの規制緩和や農産物品種(一代交配種(F1))の権利寡占化で現れているように農薬関連業界や種苗業界(農薬・種苗複合コングロマリット)などでも根強いとされ、氷山の一角であるとみられています。
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