大阪府の伝統野菜絶滅の危機から救うために

スーパーなどで見かける野菜やホームセンターや多くの種苗店などで見かける野菜苗や種子のほとんどは、特定の企業が独占的権利を保有しているF1品種だということをご存知でしょうか。F1品種は耐病性・美形・収量安定など、生産者や売り手にとってのメリットがある一方で、野菜本来の味や栄養が損なわれ、野菜食への関心が薄れるという食育上の問題があります。実は、採種で育て継いできた世界の伝統品種(固定種)の約96%は消滅もしくは忘却されたといわれています。その原因としては、在来種栽培農家の高齢化などが指摘されていますが、なかでも問題が大きいのが、農業における行き過ぎた商業化です。旧モンサント(現バイエル)やシンジェンタ、コルテバ(※ダウ・デュポンから分離独立)などの多国籍アグリビジネス勢力が、それぞれ独占的権利を保有する従来のF1交配種に加えて、近年では、遺伝子組み換えやゲノム編集技術を駆使した、自然の摂理に逆らうような品種までが農地を「侵食」し始め、これらと交雑して遺伝子汚染が起きることも、伝統品種消滅の新たな脅威になっているのです。決して大げさなことではないのです。このままでは、伝統品種が完全に絶滅してしまうのは、時間の問題なのです。

そこで、大阪府環境農林水産部 農政室推進課 地産地消推進グループに夏野菜の伝統品種のひとつ、「玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり)」種子の入手先を問い合わせたところ、堺の種子店に取り扱いがあるということで、直ちに、豊中の事務局から自転車で約3時間かけて入手に向かいました。購入した種子の品種名は、「千成黒門縞瓜」と異なる名称になっていましたので、念のため、購入前に問い合わせた大阪府の担当者に確認したところ、「(今のところ、)なにわ伝統野菜にはなっていない」と答えたのです。しかし、「黒門」というのは、大阪城の玉造門のことを意味しており、「越瓜(しろうり)」とあっても、明瞭な縞があることから、別名であり、さらに、より詳細な呼称の可能性もあります。大阪府もなにわ伝統野菜の保全に取り組んでいるものの、いろいろな意味で、まだまだ力不足のところがあることが明るみになりました。

この伝統品種の種子は、能勢町にあるコラボレーション団体や農家等の協力を得て栽培・採種し、栽培の普及拡大を目指していきたいと考えています。そして、収集した固定種の遺伝子資源を原資として、大阪府の伝統品種(なにわ伝統野菜)を中心とした固定種遺伝子資源を発展的に保全するシードバンクの設立を目指していきます。伝統品種の絶滅危機や今後の食育のあり方を憂い、主体的になんとかしたいという思いを共有し、実践活動にご協力いただける方は、ぜひとも、いいねとコメントをお願いします。

昔は今の大阪市内でも、現在の野菜よりもはるかに味がしっかりとしておいしい野菜がよくとれていました。継承栽培家の高齢化もあり、絶滅の危機に瀕しており、待ったなしの状況です。ぜひとも、ほんとうにおいしい野菜の品種の発展的保全にご理解ご協力をお願いします。

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