消費者を小馬鹿にした許せない対応
国内大量生産パン最大手のヤマザキパンが、自社の角型食パンの一部(超芳醇、ランチパック用食パン、モーニングスターなど)にのみ添加しているとみられる小麦粉改質剤の臭素酸カリウム(KBrO3)のリスクコミュニケーションを意図的に忌避している実態があることを突き止めました。ヤマザキパンのお客様相談室のオペレーターに、「臭素酸カリウムが完全に分解された後に、何が残るのか」と質問をしたところ、オペレーターは、化学がわからないことを理由に、「わからない」と答えるだけで、その後も、化学力がある担当者に替わることなく、同物質のリスクコミュニケーションを忌避するという不審な対応をしました。そこで、東京都千代田区のヤマザキパンの本社に直接質問をすることにしました。これに対してヤマザキパン本社は、お客様相談室のオペレーターが化学力がないことを知りながら、恣意的にお客様相談室に電話を転送するという対応をしたのでした。その後、事情を説明のうえ、再度ヤマザキパン本社に電話をすると、今度は、総務が対応しました。ところが、その総務の担当者に同じ質問をしても、「わからない」と答えたのです。不審に思い、「あなたはほんとうに理系の方ですか」と質問をすると、「文系です」と答えたのでした。各従業員の化学力に裏打ちされた誠実なコミュニケーション態勢が求められる食品事業者が、このように、恣意的に化学力のある従業員に回答させないというのは、消費者の知る権利を無視し、消費者に泣き寝入りを強いるという悪意を感じずにはいられません。
FMGでは、臭素酸カリウムの強酸化剤としての化学的特性から、臭素酸カリウムの完全分解(検出下限値以下での残存レベル)の可能性は十分に考えられるとしながらも、系内(パン生地内)から臭素酸カリウムの使用の痕跡が完全になくなることは考えにくく、不揮発性の還元生成物として、臭化カリウム(KBr)が生成する可能性が高いのではないかと推察しています。このことは、食品安全委員会のファクトシートRef.1でも示唆されているとおりです。臭素酸カリウム還元生成物由来とみられる臭化カリウムの健康影響については、よくわかっていないのが現状です。
●臭素酸カリウムの推定酸化還元方程式
BrO3– (+5) + 6 H+ + 6 e– → Br– (-1) + 3 H2O
KBrO3 + 6 H++ 6 e– → KBr + 3H2O
※この場合、水素イオンは、バン生地中の食品原料または食品添加物に由来して供給されるものと考えられます。
味の素でも文系ワンオペ対応か、発酵法の微生物GM有無の回答拒否
アミノ酸化学品大手の味の素(東京都中央区)に、ハイミーなどに使用されている核酸ナトリウム塩の製造(発酵法)で使用される微生物の遺伝子操作の有無について質問したところ、回答を拒否しました。このような対応をしたのは、やはり柔軟な化学力が十分とはいえない文系の担当者であり、毎回同じ人物が対応していることから、実質的にワンオペ対応が常態化している疑いも浮上しています。
味の素やハイミーといったうま味調味料については、使用の是非に関して、賛否両論があり、しばしば激しい議論が行われていますが、化学物質の安全性にかぎっていうなら、過剰摂取したりしないかぎり、とくに毒性が問題になることはないと仲裁できます。しかし、正しい味覚を鍛えるという食育の観点や、倫理的(エシカル)消費の観点でいえば話は全く別です。前述のような「企業としての味の素」の対応を考慮しても、これらの観点では、摂取は避けるべきだといえます。最終的に摂取するかどうか、どのように摂取するかは、各主体の判断に委ねられます。
【参考文献】
Ref.1:内閣府食品安全委員会 ファクトシート 臭素酸カリウム(2007年8月9日作成)
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheet-kbro.pdf
コメント