ゲーム恐慌の予兆か、それとも…

最近、ゲーム業界に異変が起きている。売り切れ続出で絶好調と思われがちなソニー(ゲーム事業会社はソニー・インタラクティブ・エンタテイメント(米国カリフォルニア州サンマテオ市(※注);以下、SIE)のプレイステーション5のゲームソフトが売れず、ハードウェアは転売が相次いで高騰を招き、入手の困難さに拍車をかけ、ゲーム愛好者の間では白けムードになりつつあるというのだ。

SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

この現象は、低知性派層であるゲーム愛好者クラスタに特有の社会現象といえるもので、到底理解し難い。ゲームへの愛好は、SIEとゲームソフトメーカーへの完全な依存で成立するものであり、SIEやゲームソフトメーカーの動向次第で大きく左右されるという脆弱な運命にある。SIEの意向としては、ハードウェアは日本よりも欧米向けへの出荷に重点を置いているために、日本では慢性的な品切れ現象を招いている。ハードウェアがなければ、ゲームソフトがあってもプレイできないので、ゲームソフトが売れなくなる。どうしてもゲームをしたければ、ネットオークションに頼るしかなく、希少価値欲も働いて、とにかく高価でも手に入り次第買おうとするので、ハードウェアの高騰を招き、結局はプレイステイション5でゲームをすること自体を諦めるわけだ。これがまさに、依存と欲望とがもたらす、諦めのスパイラルである。

また、ゲームにはもう一つ斜陽の兆しがある。殺傷ゲームメーカーで知られるカプコン(大阪市)が、情報を財産とする企業として致命的なランサムウェアの攻撃を受けたというのだ。同社が提供するネットゲームへの影響はないと説明しているが、セキュリティの隙を突かれたものであり、信用面で致命的なダメージを受けた痛手は大きい。

これらの社会現象は、もういい加減にゲーム依存はやめろという警告なのかもしれない。ただでさえ、殺傷シーンの倫理的問題や依存志向の助長による生きる力(自創力)の低下、ゲーム障害の発症など、商業ゲームがもたらす弊害は非常に多い。このような今こそ、周囲のブームや物欲に振り回されない、豊かさの自創について、真剣に考える機運を醸成したいものである。

※注:米国カリフォルニア州サンマテオ市は、大阪府豊中市の姉妹都市。大阪府豊中市はコナミの創業地でもあり、商業ゲーム問題の歴史と密接な関係がある。

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