2月7日は鮒の日です。茨城県古河市の古河鮒甘露煮協会が2001年から制定した日としても知られていますが、銀鮒の里学校(ふなあん)の記念日でもあります。未来あるこどもたちのために、どのようなことができるかという公益的・利他的な取り組みを考え、アクションを起こす日という設定です。ヘンな鮒は、過酷な草刈り作業にも耐える土佐打刃物の共柄鎌を購入しました。共柄とは、鋼鉄製の刃と柄との継ぎ目がなく一体となった工具・農具のことを指し、刃重460gという、ホームセンターでみるものとは一線を画する、山林開墾仕様のハイスペック品です。(重作業用鎌は、刃重が重いほど強力・高性能とされます。もちろん、使用には技術と気力・体力が必要です。)昭和の頃は農村でよく使われていた銘品、8,500円です。先日お伝えしました、川西・猪名川の不法投棄の惨状をなんとかしたいとの思いで、まずは草を刈り、清掃管理をしやすくし、ゆくゆくは、こどもたちがときめく「河原の秘密基地」(あそびば)に整備したいと考えています。(管理を所管している兵庫県などにも提案しています。)いまは、絶望的なきたなさですが、住宅地に挟まれていながら、秘境的な自然景観がみられる貴重な場所です。だからこそ、なんとかしたいという思いが強いのです。読者の皆様も、現地での草刈り(手刈り)・清掃作業などでの協力・銀鮒の里学校への寄付金協力など、できることでご協力いただきましたら幸いです。
さて、今回は、ヤマザキパン問題の渾身の独自取材とそれに関連した熟考という、ふなあん市民運動メディアならではの盛りだくさんのオリジナル記事をお届けします。
ふなあん市民運動メディアは、ヤマザキパン(山崎製パン;東京都千代田区)に対して、ランチパックの開発姿勢について質問をしました。「こどもにおすすめできるランチパックは何ですか」との問いには、「すべて安心しておすすめできます」と答え、「臭素酸カリウムは使用されていますか」との問いには、「使用しています」と答え、「その臭素酸カリウムはどのように(どのような化学形態に)なりますか」との問いには、「分解しますが、詳しくはわかりません」と答えました。
そこでヘンな鮒は、腸内細菌に悪影響を及ぼすおそれがあるソルビン酸(カリウム)などの食品添加物や、トレーサビリティ不明のケージ鶏卵などの動物性食品の使用が非常に多い事実から考えて、ヤマザキパンの回答は単なる自社願望に基づく回答であり、辻褄が合わないことを察知。「近年、こども(小学生など)の便秘が問題になっているが、こどもたちの柔らかく清らかな腸に入ることを考えて開発しているのか」と問い質すと、真っ当な回答ができずに詰んだ末に、禁断の回答をしたのでした。
「こどもの腸(うんち)のことは全く想わずに開発していました。」
さらに、ランチパックの栄養成分表示には、食物繊維の表示がないことにも言及すると、
「食物繊維はほぼゼロです。」
と答えることしかできず、無力ぶりをさらけ出した格好でした。
モンテッソーリ教育でもこどもうんちの肯定が重要
マクドナルド反対のスローフード運動発祥の地でもあるイタリア・ローマ発祥の世界的に高く支持されている教育体系であるモンテッソーリ教育においても、こどもうんちは、「うんちやおしっこの排泄は自然なものであり、また、こどもがごく自然に関心を持つ身近な対象であり、(周囲の大人は、タブー視したりせず)肯定的に受けとめることが大切」としています。モンテッソーリ教育では、こどもに対して行う、うんちやおしっこの排泄に関する教育を「トイレット・ラーニング」と呼び、こどもも身近な大人も、こどもを固く狭い孤独な閉鎖空間に閉じ込めるたり、大切にすべきこどもうんちをすぐに流す(棄てる)ことを強制するのではなく、身近なすぐそこで、こどもうんちに身近にアクセスできるようにすることで、こどもうんちに関して、気負わず、こどものからだに正直にうんちができ(トイレット)、うんち主のこどもも大人も、こどもうんちとしっかりと向き合い、主体的な気づき(ラーニング)ができるような配慮をすることを推奨しています。
銀鮒の里教育では、こどものうんちに対する愛着と自信という肯定心を育てることを大切にしています。こどもうんちは、一人ひとり少しずつ違う、腸内細菌のかたまりであり、自分の分身だということができます。自分の分身だから、それを流したり棄てたりするのは、自己否定であって、それをしつけと称して強制するのは、自己否定の原点だと考えます。だから、こどもがうんちをしたら、こどものうんちをほめ、うんちをしたこどもと手のひらタッチするのと同じように、丁寧に手にとり、丁寧に発酵させ、次の物質循環に還してあげます。そして、こどもうんちは、こどもの食べたもの次第で変わるのだということを気づかせる配慮をします。食物繊維がほぼゼロであるうえ、ソルビン酸のような合成保存料が躊躇なく使われたランチパックをこどもが食べると、こどもの腸やうんちはどうなるかは、想像するに易しです。マクドナルドも然り、ヤマザキランチパックもまた然り、これらのような超加工食品への批判なくして、学校でうんちができず便秘になる小学生の問題は、起こるべくして起こる問題だといえるわけです。
【詳説】臭素酸カリウムのパン生地中での推定挙動
ヤマザキパンの拙い説明に基づくと、臭素酸カリウムは、水分があるパン生地の焼成(加熱)により、下式のように分解するものと考えられます。
2 KBrO3 → 2 KBr + 3 O2
しかし、これは、雑多なマトリックスの影響が無視できる、実験室的な単純系における化学的挙動にすぎず、実際には、雑多な有機性物質に取り囲まれた複雑系であり、環境化学や食品化学では、そのような複雑系での予期せぬ化学的挙動をとる可能性も想定しておく必要があります。例えば、たんぱく加水分解物は、塩酸での酸加水分解で製造される場合がありますが、この製法によるたんぱく加水分解物には、副生成物として、3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-モノクロロプロパンジオール;3-MCPD)や1,3-ジクロロ-2-プロパノール(1,3-ジクロロ-n-プロパノール;1,3-DCP)などの塩素化低級アルコール類が生成すること※参考1がわかっています。これは、後になって、食品化学・環境化学的研究で明らかにされたことであって、たんぱく質加水分解物の酸加水分解法の開発時には想定されていなかった副反応とみられています。さらに、参考1の文献では、(ヤマザキパンが多用する)酒石酸モノグリセリドなどの乳化剤を使用したパンでは、不使用のものと比べて、3-MCPDの濃度が高くなることを指摘する報告もあるとしています。
脂肪族有機ハロゲン化合物は、しばしば非意図的有害生成物として問題視されます。有機物(脂肪族(アリファティック)系)の非意図的ハロゲン化の段階として、最もよく起こりうる例として、第三物質としての酸化剤の存在があります。例えば、鳥インフルエンザ発生時の消毒剤としてもよく使用されている「ビルコンS」の化学的挙動をもとにすると、次の1から3のように説明されます。
- 酸化剤(第三物質)のモノ過硫酸水素カリウムのモノ過硫酸水素イオンが、共存成分の塩化ナトリウムの塩化物イオンを、次亜塩素酸(イオン)に酸化します。
- 次亜塩素酸(イオン)は溶液中で自己分解し、単体の塩素(Cl2)を生成する作用があります。さらに単体塩素は、塩素間の結合が切断されることで、あらゆる有機物に対して高い塩素化反応性を示す主体となるクロロラジカルを生成します。
- 生成したクロロラジカルは、非常に不安定であるため、自らが安定になろうとするために、周辺にある塩素化可能な有機物を片っ端から塩素化しようとします。有機物と塩素や次亜塩素酸とが作用しあって、様々な塩素化生成物が生成するのは、このためです。
- さらに、それ自体に酸化作用がない塩酸(HCl)による酸加水分解で3-MCPDや1,3-DCPのような塩素化生成物が生じるというのは、身近に無尽蔵にある活性酸素種(ラジカル)やその他の酸化性物質(臭素酸カリウムなど)の共存によって、上記1〜3に相当するような作用が生じることによると考えられます。
3-MCPDや1,3-DCPなどといった脂肪族有機ハロゲン化合物は、アルキル化に係る反応性に起因する発がん(悪性腫瘍形成)リスクの上昇のほか、神経系に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。このことを教育学的に連携させて考えると、近年のこどものねばり強さの欠如や、すぐにキレたり、自分のゴミを置き去りにするような問題行動も、食品添加物に無頓着な親や社会の姿勢が関係しているのかもしれないといえます。こどもたちの柔らかく清々しい腸を守り、しなやかな頭脳を鍛え上げる(学力と人間性の向上の)ためには、食品添加物を含まない食品、とくに、未加工のホールフード(まごわやさしい)の意識的摂取、ヴィーガン食の(部分的)導入、こどもうんち・つば・手のひらねちょねちょ・こども特有のばばっち香(代謝物)の生成といった一連の「こどもばばっち」(健康なこどもが本来持つ常在菌や分泌・代謝系などの活力)の精細な観察といった、「銀鮒の里版エコチル」といえるような臨床研究的な市民的取り組みが必要といえるでしょう。
※参考1:農林水産省ウェブサイト「食品中のクロロプロパノール類及びその関連物質の生成」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/c_propanol/substance/formation.html
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