日本一財布の紐が固く論理的と評される岡山県人。そんなコッテコテ岡山県人の鮒ちゃんが、どケチエコ道を伝授する鮒ちゃん直伝どケチエコ道。今回は、「関西孤島」というべき関西特有の（経済）閉塞感の一因になっていると批判される関西寡占勢力に、経営統合話で果敢に殴り込みをかけてきた関東のディスカウントスーパー「オーケー」（横浜市）の売り方が、関西のマーケティング・リサーチで抜きにしては語れない論客層、大阪から新幹線で1時間もかからない関西隣接地域、中国地方・山陽の岡山県（南部）出身者にはどのように映るのかという、タイムリーな話題です。（ここでいうエコとは、Ecological（環境配慮）とEconomical（経済的好循環）とをかけています。）
オーケーの売り方の基本的特徴
30年くらい前までは、ディスカウントスーパーといえば、安かろう悪かろうが当たり前でした。いくら岡山県人がどケチとはいえ、到底受け入れられるものではありませんでした。岡山県人はどケチとはいっても、ものづくりで鍛えられてきましたから、中身の品質にはとてもうるさいです。しかし最近では、安売りを前面に掲げるお店が扱う商品の品質も、そうではないお店と足並みを揃えるようになり、価格面での優位性が際立ち、岡山県人の選択肢に入るようになっています。
関東勢のオーケーは、それから一歩踏み込んだ取り組みをしているようです。例えば、納豆のタレは添加物の関係もあり、ないほうがありがたいムダなものの象徴的な例ですが、そのように考えるのは岡山県人だけではないらしく、そこに目を付けたオーケーは、そんな余計なタレを省く代わりに、パック数を増量したうえに安くすることで、お値打ち感を際立たせているそうです。ムダをなくして、その代わりに本体を品質そのままで安くするお値打ち戦略は、岡山県人として強く共感できる考え方です。ほかにも、高値の原因となっているナショナルブランド（NB）品のリテールパッケージの内容とほぼ同じものを独自に大量発注して、オーケーのPB品をつくらせ、圧倒的な低価格で販売するというやり方もあります。そのうえで、オーケー独自開発品を格安で提供するという力の入れぶりです。まだ関西には進出していないので、ほんとうに内容はよいのか、ツッコミどころとなるような添加物の問題はないのか、わからない点があるのも否めませんが、「品質はそのままで、ムダを省き、その分だけ増量したり安くする」という、手作り（独自）発想のお値打ち戦略は、岡山県人として大いに共感できるものがあります。
一方で、関西孤島勢力を構成するエイチ・ツー・オーリテイリング（水リテ）や関西スーパーマーケット（関スー）にも「阪急の味」「StyleOne」「くらしモア」などのPB品はあるものの、PBの最大の強みであるはずのお値打ち感が少なく、どこか中途半端な感じが否めません。他の関西地盤で、首都圏でも展開しているライフコーポレーション（大阪市）の従来PBラインもまた同様です。（ただ、ライフは、サステナビリティのコンセプトを前面に出した新ブランド「BIO-RAL」の展開を始めたようです。）中途半端なことは、岡山県人の好みではありません。とにかく一貫して徹底していることが、職人気質である岡山県人の好みです。
岡山県人には共感できる合理的お値打ち戦略
関スーは、オーケーのやり方が「相容れないものがある」と強く反発しているようですが、あえて自社が持たないものを受け容れることで、多様性を醸成することによるシナジーをもたらすという経営戦略の考え方もあります。とはいえ、小売業であることには変わりありません。コストコのような大量消費を煽るような卸売（ホールセール）型のスタイルは、質素倹約を重んじる岡山県人には受け入れられ難いですが、関東勢ではあっても日本独自のスタイルであるオーケーのやり方には、岡山県人として、どこか馴染みを感じます。これは、あくまでも関西在住の一岡山県人の意見かもしれませんが、（一人の背後には、何十人、何百人という同じような考え方の人がいるというゴキブリの法則というのがあるように、）進出のやり方にはいくつも方法があるとしても、オーケーさんには、とにかく一度、関西市場に実際に店を出してみて、実際に関西在住者に信を問うてみることをお願いしたいと思います。（実際に、比較的近い立場のロピアも好調のようです。）そうすることで、オーケーは健全な競争を促し、水リテという「大鬼」が巣食う関西孤島の閉塞感を打破する「桃太郎」になることは間違いないと思います。関西には私のようにどケチな岡山県人もたくさん居住していますので、きっと成功するものと確信しています。
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