【市民目線】遠方からわざわざ足を運ぶ価値があるお店を(SDGs8・11・16)

統合差し止めの報道後の関西スーパー・阪急オアシス・イズミヤを訪ねた。いずれも、通常と変わらない様子を装っていたが、神戸地裁による統合差し止めに伴う今後の動きについては、「本部からは何も聞かされていないからわからない」といい、内部では混迷をきわめている様子が伺えた。

エイチ・ツー・オーリテイリンググループ「関西フードマーケット」傘下の企業として経営統合を予定していたこれら3社に共通していえること、それは、「遠方からわざわざ足を運ぶだけの価値に欠く」ということである。いずれも近くにあれば便利だから行くが、とくに「この店でなければ」という強い光を放つ何かがないから、遠ければ、わざわざ足を運ぼうとは思わないのだ。ふなあん市民運動メディアの配信拠点がある豊中市は、実質的に阪急オアシスを中心としたエイチ・ツー・オーが圧倒的に強い地域であり、関西スーパーはおろか、他地域では圧倒的な強さを誇るイオンでさえも、その存在感は小さいくらいである。当然予想されることではあるが、エイチ・ツー・オーリテイリンググループの店の間では、マンネリ化の傾向が否めない。かといって、エイチ・ツー・オーとは資本関係がない他のスーパーチェーンの店も、これといった特徴はない。全く違う何かを求めるなら、業務スーパーやサンディのような圧倒的にお値打ちな何かがあるお店に行くか、生活クラブ生協やよつ葉で、スーパーでは扱わないような持続可能性で圧倒的な優位性を持つものを目的意識をもって注文するような買い物のスタイルになる。

一方で、関西スーパーとの統合を競っていた関東勢のオーケーは、エイチ・ツー・オーなどとは全く違ったコンセプトを持ったディスカウントスーパーであり、関西ではサンディがそれに近いとみられるが、やはり違うようで、関西では見られない業態の店のようである。関東では、オーケーの店舗がないエリアからわざわざ車でドライブついでに行くくらいだそうだ。関東勢の関西への進出事例では、豚のキャラクターのロピアがあり、関西では少なかったタイプの店ということもあり、盛況のようだ。オーケーは、ロピア以上に惹きつける何かがあるともいわれており、日本の近代スーパーの元祖といわれる名門、関西スーパーは、エイチ・ツー・オーリテイリンググループを含めた関西の既存勢力が、下剋上を狙うオーケーに嫉妬の念を持ちつつも、関東勢のオーケーに既存客を奪われることを恐れて、法令違反を犯してまで、現代の関西のベタなスーパーの典型といえるエイチ・ツー・オーリテイリングへの傘下入りを望んだのかもしれない。

いずれにせよ、関西の買い物客の立場からすれば、既存の関西のスーパーは、いまいち面白さに欠けるので、これまでになかった全く新しい価値を創造できるお店ができることを願ってやまない。そのことが、結果的にも、お店の多様性をもたらし、健全な競争を促し、多彩で面白い地域社会づくりに貢献することになるのではないかと確信する。

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