
16日午前9時、兵庫県姫路市のバタリーケージ採卵養鶏場で、大規模な鳥インフルエンザが確認されました。兵庫県は、同日同時刻から、殺処分に着手、殺処分した採卵鶏は焼却処分とすると発表しています。
●兵庫県の情報
https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk13/hpai/hpai.html
知事メッセージで不適切リスコミ、エビデンス不明

兵庫県が、同県公式ホームページの鳥インフルエンザに関する緊急情報ページ上の知事メッセージや公開文書において、「県民の皆様におかれては、食品(鶏卵、鶏肉)を食べたとしても、これにより鳥インフルエンザウイルスが人に感染することはありませんので、ご安心ください。」と、曖昧さ(不正確さ)を含む不適切なリスクコミュニケーションを行っていることに関し、FMGは注意喚起を行っています。(写真の知事メッセージの5を参照)いかなる家禽食品の経口摂取ケースについても、人が鳥インフルエンザに感染しないことを完全に証明するようなエビデンスは、現時点においては知られていません。現時点において、人への感染については、ウイルス保持またはウイルス感染が疑われる鳥類との濃厚接触では稀に感染することがわかっており、とくに、人を含む哺乳動物を経由した感染はより起こりやすいうえ、強毒性化する可能性があることも、近年の知見でわかっています。経口摂取での感染については、決定的なエビデンスこそはないものの、ウイルスの一般的特性から、75度以上1分以上の加熱調理では、ウイルスのほぼ全数が失活し、感染の可能性はきわめて低くなるものと推察されます。しかし、以下に示すことが盲点です。殊に日本では、鶏などの家禽食品(肉・卵)は生食する習慣もあり、生の家禽肉や家禽卵を経口摂取した場合の感染リスクは、現時点ではエビデンス(家禽食品の経口摂取に起因しての感染事例)がないことから、誰にもわかりません。さらに今日では、家禽食品をウイルス失活温度以下で調理する低温調理が行われる場合があり、このような場合は、加熱はしたとしても、実質的には生食と同等とみなされます。日本以外の国では、家禽食品の生食の習慣がそもそもなく、加熱調理が前提となるため、経口摂取に起因する感染に関するエビデンスがほぼ得られないことにも注意が必要です。
よって、知事メッセージの5は不適切であり、以下のように修正されるべきです。
鳥インフルエンザウイルスを含む食品(鶏卵、鶏肉)を経口摂取した場合に関する知見は現時点ではありません。但し、ウイルスの一般的特性から考えて、当該食品が75℃1分以上で加熱調理がなされた場合、当該ウイルスが失活する可能性はありますが、そのことは、断定できるものではありません。ウイルス失活温度を上回る加熱調理を経ない当該食品を経口摂取した場合については、エビデンスがないことから、未知のリスクがあることをご承知おきください。当該食品の摂取の判断については、以上のことを冷静にご理解いただいたうえで、各自の責任で行ってください。
鳥インフルエンザは、人に感染した場合は、致死率が50%を上回るとされています。(WHO人感染事例把握件数ベース)実際には、保健衛生上のリスクのみならず、生命倫理・動物福祉・環境影響といった、持続可能性・倫理(エシカル)関連の熟考も求められます。一度、人への感染拡大が起きると、社会は大混乱に陥るとされ、WHO(世界保健機関)などもも警戒しています。家禽食品の過剰需要が社会的リスクを高めていることを考えると、むしろ、後者のほうが重要ともいえます。FMGでは、後日、兵庫県に対して、この問題の知事メッセージの5の発出に関して、そこに含まれる真意について、詳細の説明を求めていく方針です。


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