生理用品問題とジェンダー教育(SDGs 5/13/14/15)

新型コロナウイルス禍による生活困窮の影響で、生理用品が買えない人が多くなっていることが社会問題となっています。

私が生理用品を買えなくなった日 | NHK | News Up

生理用品の問題は、経済的な問題だけではありません。ナプキンなどに使われる吸水性ポリマーの(廃棄物)問題、有害化学物質の経皮吸収の問題、男性の理解不足の問題など、多岐に及んでいます。女性の生理用品の問題を解決し、真のジェンダー平等を実現するには、どのようなことが必要でしょうか。

吸水性ポリマーの問題

おりものや経血を吸収するために、使い捨てナプキンには、乳児用の紙おむつと同様の吸水性ポリマーが使用されています。アクリル酸系のポリマーと考えられ、多くの場合、石油を原料にして合成されます。もちろん、一回使い切りの使い捨てであり、使用済みの吸水性ポリマーは、紙おむつとともに、廃棄物の大きな割合を占めています。海洋に流出した場合は、海洋プラスチック問題の原因の一つとなります。

有害化学物質の経皮吸収の問題

ナプキンやタンポンは膣に触れるものですが、膣は人体の表層のなかで、生体異物の化学物質を最も吸収しやすい部位といわれています。使い捨てナプキンなどにも、吸水性ポリマーポリマー由来の残留モノマーやマスキング香料などの有害性が疑われる物質が含まれている可能性があります。再利用できる布ナプキンを使う場合でも、合成洗剤や柔軟剤などを使うと、これらの有害物質が膣から吸収され続けることになります。

男性の理解不足の問題

生理(月経)は女性特有のものであるため、男性にはその悩みが理解できず、意識差が生じることが問題となっています。その意識差のために、男性が女性に対して「生理用品なんか節約すればいいだろう」などと心ない発言をする問題もよく起こります。これは、性教育(ジェンダー平等教育)が不十分であることの弊害です。女性にとって、生理用品はごくあたりまえの快適な生活をするための必需品であることを、男性はできるだけ早い時期(思春期以前)から理解することが必要なのです。

布ナプキンの石けん洗濯で解決

綿製の布ナプキンやタンポンは、ものによっては、最初は割高に感じるかもしれません。しかし、洗って何度も繰り返し使用できるため、結果的には、使い捨てナプキンと使い捨てタンポンを使うよりも経済的です。布ナプキンやタンポンの使用後は、水かぬるま湯でできるだけおりものや経血を除去した後、粉石けんを溶かした洗濯液でもみ洗いすれば、(合成洗剤や柔軟剤を使った洗濯で懸念されるような)有害物質が膣から吸収される心配もありません。布ナプキンを石けんで洗濯して繰り返し使うことは、生理用品による家計負担を抑えるだけではなく、自身の健康や環境を守ることにもなるのです。

小学校ジェンダーフリートイレの意義

近年、LGBTの人への配慮もあり、小学校などにジェンダーフリートイレ(男女共用)のトイレを設置する動きがあり、その教育効果が注目されています。ジェンダーをめぐっては、トイレに関しては、「男女別のトイレを設置すべき」というような相反するような意見も存在しますが、近年では、あえて男女別のトイレを設けることが徒にジェンダーギャップを拡大する原因になるという見方が出てきており、銀鮒の里学校でも、ジェンダーフリートイレに関しては肯定的な考えを持っています。

男女別トイレの場合、男子トイレがどうしても汚れやすい傾向にあり、このことも、男子がうんちをしにくい原因の一つになっているとされています。ジェンダーフリートイレの場合は、男の子は女の子を、女の子は男の子を、互いに思いやって用便をする習慣が自然発生的にできるようです。このようなことは、飲食店などの男女共用トイレでも気づかれたことがあろうかと思います。これとは逆に、思春期までに、異性の性差を認識したうえで思いやる教育が十分でないと、ジェンダーギャップが大きくなり、性差が羞恥につながったりすることもあり、悪循環をもたらしてしまいかねません。小学校低学年の頃から、ジェンダーフリートイレでうんちおしっこをする習慣は、このような重要な意味があるというわけです。

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