【独自】石川県、観光プロモーションめぐりポケモン社との公商癒着疑惑が発覚「自然への冒涜」と厳重抗議

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「包括連携協定」という名の下での公商癒着、ポケモン社関連財団からの請願が動機か

災害復興なら何をやっても許されるのか…FMGは、観光で災害復興を目指す石川県の公商癒着疑惑をあぶり出しました。疑惑が浮上しているのは、石川県文化観光スポーツ部観光戦略課と公益社団法人石川県観光連盟が推進している、「ピカチュウのとをまるごと探検チュウ」観光キャンペーンです。

「ピカチュウのとをまるごと探検チュウ」観光キャンペーン 公式ウェブサイト((公社)石川県観光連盟)

疑惑の観光キャンペーンを始めた動機について、石川県の説明によりますと、「ポケモン株式会社(ポケモン社)社員有志が立ち上げた『一般財団法人ポケモン・ウィズ・ユー(POKÉMON with YOU)財団(※所在地不詳;以下、PwY財団)』から、能登半島地震による災害の復興支援に関して、協力させてほしい旨の請願があり、それを了承した。そして、昨年7月18日付で、当県とPwY財団とは包括連携協定を締結し、それに基づいて、ポケモンを活かした観光プロモーションを行っている」ということです。

ポケモン・ウィズ・ユー財団とは?

PwY財団のウェブサイトによりますと、同財団は、こども達の活動の場づくり、とくに、災害被災地での活動に力を入れているとあります。その他にも、ICT教育の支援、こども食堂支援、独自のスカラシップ(奨学金)制度、ゴミ拾いなどの環境活動も行っているということです。東日本大震災が発生した2011年3月に、株式会社ポケモンの社員有志による、被災地復興支援活動の呼びかけが、同財団設立のきっかけということです。

善くも悪くも、被災地復興支援といえば、無批判に歓迎される風潮があるのが日本社会ですが、PwY財団は、その特性上、ポケモン社等が保有するポケモンの権利に付随して発生する、営利企業であるポケモン社の事業収益の一部、いわゆる「ポケモンマネー」が原資になっているとみられます。福祉車両や公共施設のネーミングライツなどからもわかるように、今日では、高額の経済的寄贈を伴う協力者の社名等は、寄贈に対する感謝の意を表明する意味合いから、あえて露出するのが、日本社会における常識のようになっていますが、そうである以上、官民の垣根を越えて、学校や幼稚園、保育園、公共交通機関や公共施設等でのポケモンキャラクターの公然露出が当然のように行われてきたわけです。このことが、この十数年の間に異常な拡がりをみせている、これまではタブーとされてきたような、地方公共団体による各種ポケモンキャンペーンにも現れていることは、PwY財団のウェブサイトから類推するに易しです。PwY財団は、建前上はポケモン社とは別法人ですが、実質的には、「株式会社ポケモンのNPO活動部門」であり、結局のところ、本音としては、同財団の慈善活動を通じてポケモンキャラクターを刷り込むことで社会的標準化し、低俗感の払拭を狙うという、営利企業であるポケモン社のプロモーション(売名行為)の狙いがあるのではないかと考えられます。このような経緯があることから、FMGでは、PwY財団は、逞しくも地方公共団体の洗脳をも企み、見返りを求めない純粋な慈善活動に擬態し、実質的には原資団体の営利活動(収益増大)促進を狙うことが主目的化した慈善活動ウォッシュの象徴的事例だとみて、警戒を促しています。いいかえれば、地方公共団体が包括連携協定を組み、そのような活動を推進するということは、地方税収が間接的には特定営利企業の私腹を肥やすために使われているともいえます。

ポケモン露出だけで自動的にポケモン社収益「隠れ賄賂システム」

さらにいえば、賄賂は違法だが、「包括連携協定」という「魔法」を使えば、特定営利企業による「隠れ賄賂」に相当する行為も合法化されるという行政の闇ともいえます。ポケモンはキャラクタービジネスの特性上、多様な媒体に露出する戦略により、権利を保有する営利企業が自動的に収益が得られるようになっているため、とくに厳格な審査が求められます。現実的には、商業キャラクタービジネス母体の団体が、見返りを求めない純粋な慈善活動を行うことは仕組み上不可能であるため、結果としては、ほぼ100%棄却されるべきということになります。

さらに、PwY財団は、取得した個人情報を日本国外に移転する可能性があることを、同財団のプライバシーポリシーで表明しています。

石川県の無審査疑惑

地方公共団体には、公平な社会を持続的に維持する責任が課せられていますから、特定営利企業の私腹を肥やすような行為は、審査の上で拒否しなければなりません。特定企業原資の震災復興活動の請願も例外ではありません。例えば、生活必需性の高い有形消耗品のメーカーが、寄贈の見返りを一切求めないことを条件に、災害復興支援のために一時的に自社製品を寄贈する行為は、広告(営利プロモーション)性がほぼ認められないため、認められることには、特に異論はないと思われます。

しかし、ポケモンの場合は、話が別です。ポケモンのキャラクター自体は無形で、かつ、自然界に実在しない虚像で、商業依存(他社丸投げ)性や営利性を持っています。そして、その虚像が、ラッピングトレインや観光施設、公共施設への掲出、グッズ化などを通じて無意識のうちに刷り込まれることは、営利プロモーション性がきわめて高く、実質的には、非常に強力な広告媒体となります。ことにポケモン社はそれがビジネスの基幹であり、さらには、任天堂のゲームやポケモンGO連携、ポケモンカードなどの相乗効果も相まって、その収奪的利益回収効果は計り知れません。

そのようなポケモン社特有の強力な広告効果が公益を脅かす懸念が大きいにもかかわらず、石川県は、同県によるPwY財団の震災復興支援活動の受け入れに際しての審査に関する言及は避けました。実際には完全な無審査のナアナア通過か、形式的な簡易審査だけで通過させたかのいずれかである可能性が高いといえ、公益上の重大な問題があることが露呈しました。

この問題の本質は、「自然への冒涜」

ポケモンキャラクターは自然には存在しません。ポケモンの虚像世界に没入させることで、自然を基盤概念とした現実世界への関心への集中から恣意的に逸らさせることで、現実世界の認知体験の機会を奪わしめるのが、ポケモンの狙いなのです。「ピカチュウのとをまるごと探検チュウ」観光キャンペーンの実施によって、自然という現実世界への関心から恣意的に逸らさせることを、石川県は公式に容認しているということになり、これは、地方公共団体による自然への冒涜であり、ひいては、自県ブランドを自ら毀損せしめているという批判を免れません。このことからFMGは、とくに児童の現実世界の認識深度や知的好奇心の発達に及ぼす悪影響は計り知れないとして、石川県が推進する「ピカチュウのとをまるごと探検チュウ」観光キャンペーンに厳重抗議します。

今後も市民的警告を無視し続け、このようなことを続けていると、以降に災害など支援が必要な事象が起こったときにも、誰からも助けてもらえなくなることでしょう。このような意思表示を、あなたもぜひ、石川県や、ポケモンキャンペーンを推進している(しようとしている)他の地方公共団体に行ってください。

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