教え子・教諭ともに殺傷ゲームが影響か
福岡県粕屋町の公立小学校で、人命を軽視しているととられかねない不適切な教育対応が行われていた疑いがあることが、11日、RKB毎日放送(福岡市;TBS(JNN)系列)の報道でわかりました。問題の行為は6月中旬、糟屋町内の公立小学校で、休み時間とその後の授業中に起きました。休み時間に小学校6年のある男子児童が、人命を軽視する発言をしました。その後の授業で、その男子児童の担任教諭は、人命軽視発言をした男子児童の改心を期待する意味を含めて、命の大切さを伝える授業を行いましたが、この男子児童からは返答がありませんでした。担任教諭はその男子児童の態度を問題視し、男子児童を教室外の廊下に連れ出し、男子児童の肩に腕を回したうえで、「一緒に死のうか」と声をかけたということです。
問題の行為が起きた小学校では、10日、保護者説明会が行われたということですが、その説明会は、今後、さらなる事実確認が必要としながらも、参加した親からは、担任教諭が男子児童の肩に手を回して、自殺幇助や無理心中を想起させるような発言をしたことが体罰である可能性があるとの指摘があったといい、学校側が担任教諭の問題行為を謝罪する内容であったということです。
しかし、担任教諭の男子児童への強引な身体接触を伴うことを体罰だと糾弾するのは、重箱の隅をつつくようなことであって、問題の核心から目をそらす口実ではないかだと、FMGは指摘します。今回の問題行為の発端が、男子児童の人命軽視発言であったこと、さらに、担任教諭が人命軽視をエスカレートさせかねない対応をしたことから、FMGは、これまでの公教育災害を捉えてきた経験を踏まえたうえで、教え子も担任教諭も、殺傷シーンのある商業ゲームをプレイする習慣があり、このような悪しき習慣が、双方の人命軽視発言の根底にあるのではないかとみています。殺傷シーンのある商業ゲームは、バーチャル世界において、主人公になりきり、敵キャラクターの殺傷を繰り返すことを是としますが、そのようなゲームのプレイを繰り返していくうちに、現実世界にも反映したいという、リアルとバーチャルとの一体化願望の心理が働き、「殺傷こそが善」「(主人公のプレイヤーと一体化した)自身が死んでもまたやり直せる」といった商業ゲーム世界独特のしくみに影響を受け続け、リアルとバーチャルとの境界が曖昧になった結果、学校というリアル世界におて、男子児童も担任教諭も容易く人命軽視発言をすることにつながったのではないかとFMGは指摘します。
粕屋町教育委員会の対応について
この問題を受けてFMGは、粕屋町教育委員会に、これまでの商業ゲーム規制など、生命尊厳教育にかかわる配慮についての考え方について、いくつかの質問をしました。この質問に対して、粕屋町教育委員会は、次のように回答しました。
FMG:今回の人命軽視発言問題では、全国的な傾向から考えても、教え子も担任教諭も殺傷ゲームのプレイの影響を受けてきた可能性があるのではないか。殺傷ゲームの規制に関して、どのような考えを持ち、どのような取り組みを行っているか?
粕屋町教育委員会:殺傷ゲームにかぎらず、インターネットや動画サイト(YouTubeなど)、SNSなども含むメディア全体の問題として捉えており、メディアリテラシーに関する教育として行ってきました。
粕屋町教育委員会では、殺傷ゲームを含む商業ゲームは、教育問題の原因の一つとなりうるメディアであるとしながらも、商業ゲームに特化した教育的配慮としての規制等は行っていなかったということです。これを受けてFMGは、「商業ゲーム、ことに殺傷ゲームは、商業依存的な遊びであり、(家庭の)貧富の差に大きく影響されたり、裕福であったとしても、ゲームへの没入プレイを繰り返すことにより、さまざまな教育的な悪影響が起こりうる。そのうちの一つが、今回問題となった人命軽視である。昭和の頃の小学生が、周囲の大人のサポートを受けて、他人と触れ合いながら心豊かに遊ぶことができたのに、令和の小学生が商業ゲームなどに商業依存しないと遊べず、しかも、個別に分断されるというのは、あまりにも可哀想ではないか。今こそ、商業依存を断つ周囲のおとなのサポートが必要なのでは」とし、さらに、「生命の尊厳を主体的に学ぶことができるという意味からも、(FMGは)農業教育や園芸教育を推奨する。実際の植物や動物に触れることで、こどもたちは、自然の生き物から主体的に、生命の尊厳の意味を学ぶことができる」と提言をしました。粕屋町教育委員会が「メディアの問題」として捉えている商業ゲームですが、商業ゲームは、数あるメディアの中でも没入度が高く、とくにこどもの精神に与える影響が強いことから、今回の問題についても、児童や教職員の商業ゲームのプレイの実態を(教育委員会として)把握する必要があるなど、メディアの中でも特別に厳格な対応が求められると、FMGは合わせて提言しています。福岡県粕屋町は、九州最大の都市福岡のベッドタウンであり、FMG報道局がある豊中や池田などに似た、都市と自然とが共存した地域特性があります。
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