能勢・ぎんぶなのうえんの晩夏・初秋の風物詩チトニア(Titonia rotundifolia)。赤い陽気で可愛らしい花が大好評です。そんなチトニアに、農村の課題を解決する、すごい可能性を秘めていることを、能勢・ぎんぶなのうえんは突き止めました。肥培次第で2mを超えることもある強健なチトニアが、夏の頑固な雑草対策に役立つうえ、大きく育つことで生物的耕起効果が期待でき、冬に枯れても、土に還りやすく、来春にはより肥沃な土壌になる、景観対策を兼ねた緑肥としての特性を持っていることがわかったのです。
ライフサイクルが短いから手軽に使える一年草
チトニアは6月から生育を開始し、約2ヶ月の間、急速に成長し、8月頃から11月頃にかけて、美しい赤色花を咲かせてくれます。11月頃、種がたくさん収穫できます。栽培期間は夏から秋にかけての雑草の繁茂が気になる5〜6ヶ月間だけで、手軽に使うことができます。
繊維が柔らかく土に還りやすい
中空の茎のキク科植物ですので、繊維が柔らかく、比較的短期間で堆肥化でき、土に還りやすい特徴もあります。他のキク科植物と比べても、バイオマス量が多く、堆肥原料としても優秀です。
とにかく生育旺盛で雑草との生存競争に勝つ!
チトニアは可愛らしい花からは想像もつかないくらいに逞しい植物で、その圧倒的な生育の旺盛さで、チガヤや笹、セイタカアワダチソウなどといったとくに頑固な雑草との生存競争に打ち勝ち、雑草を弱体化させます。
深い根張りによる生物的耕起効果
チトニアは大きく育つと、根もそれなりに深く張ります。こぼれ種でも2m超えに育つほどに逞しいチトニアは、育つだけで、ミミズの働きとの相乗効果によって、土を柔らかく耕してくれます。
美しい景観と早期地力改善との両立のコツ
ここでは、頑固な雑草(夏草)が生え放題の休耕地(耕作放棄地)での植え付けを想定します。
まず、草を刈り取ります。後に耕耘しますので、粗刈りで構いません。刈った草は廃棄せず、土に還すためにとっておきます。(これが重要です。)とくに、難駆除雑草のチガヤや笹の勢いが強い場合は、林業用鎌で地下茎を寸断し、できるだけ地下茎を除去しておきます。
耕耘の障害にならない程度に草を刈ったら、耕耘します。腐植がほとんど含まれない荒れ地の場合は、適宜堆肥を施します。(腐植が十分にある場合は堆肥はなくても構いません。)
耕耘した場所に、0.5〜1m間隔でチトニアの苗を植えます。(目安:100m2(1アール;約30坪)あたり100〜400本)とくに雑草の勢いが強い場所の場合は、幼苗だと生存競争に負けてしまうことがありますので、十分に育った苗を植えるようにします。栄養分が抜けきった荒れ地の場合は、元肥としてようりんと苦土石灰も施しておきます。
苗を植えたら、刈り取った雑草(完全に枯れたもの)をマルチングし、硫安と硫酸加里を施肥します。(とくに硫安には、土着微生物の窒素源になることによる植物質の腐熟促進効果もあります。)肥沃な土の場合は、追肥なしでも大きく育つことがありますが、追肥を与えることで、痩せた土地でも大きく育つことができるようになります。順調に育てば、8月頃から晩秋まで、美しく愛らしい花を多数咲かせてくれます。蜜を求めに来訪して、受粉をしてくれる訪花昆虫も増えて、農地生態系が豊かになります。花がら摘みなどのメンテナンスはとくに必要ありません。(ただし、種子の周囲の農地等への飛散には注意してください。)
11月以降、冷え込んでくると、寒さにより、自然に枯れてきます。枯れる前に、種子が周囲の農地等に飛散しないように注意して、種子を収穫します。種子収穫後の株は堆肥化し、翌春に土壌還元します。このようなサイクルを繰り返していくうちに、ミミズなどの助けを得られながら土壌の地力を回復し、肥沃な農地を再生することができます。そのまま景観植物として何年も作り続け、地域の夏秋の風物詩にすることもできます。
※望まない雑草化を未然に防ぐため、作付けした土地の管理、とくに開花開始以後、種子をつくる時期には、種子の飛散が起こらないように管理をしてください。こぼれ種発芽性も確認しています。
関心のある自治体などからのお問い合わせをお待ちしています
チトニアを活用した休耕地・耕作放棄地の雑草駆除・景観対策にご関心をお持ちの自治体やNPO/NGO、農業関連団体などからのお問い合わせをお待ちしています。お問い合わせには、銀鮒の里アカウントが必要ですので、予め取得のうえでお問い合わせください。
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