化学はあなたを守ります!「化粧品等は必ず成分を確認してから買う」は厳守すべき鉄則
国民生活センターは13日、商業SNSで「ほくろがとれる」との口コミが拡散され、一部の間でブームになっているという中国製とみられるクリーム「点痣膏(ディエンジーガオ)」(※日本国内では化粧品・医薬(部外)品として未承認)を使用した人が化学火傷の被害を訴えている事例があるとして、このクリームを使用しないよう、同機関のウェブサイトで注意喚起しています。国民生活センターによると、このクリームには、成分として、酸化カルシウム(生石灰)や水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)が含まれているため、クリームのpHは、実測でも14にも達する強アルカリ性ということです。水溶性の強アルカリに共通した人の皮膚等表面組織に対する毒性としては、タンパク質溶解作用や脂質膜破壊作用などに基づく化学火傷などがあり、眼に入った場合は、最悪の場合は失明のおそれがあります。pHが13を超える状態での水溶性強アルカリ(水酸化ナトリウムとして、0.1規定水溶液(4重量%)以上に相当、水酸化ナトリウムの場合、5重量%以上で劇物扱い)は、化学の専門性を持つ熟練者(毒物劇物取扱者)によって、もしくは、化学の専門家の適切な安全指導のもとでのみ扱うべきであり、素人使用は事故の原因となり、大変危険です。さらに、クロルヘキシジン塩類は、体質によっては、アナフィラキシー・ショックを起こす可能性もあることが知られており、日本国内で正規に販売されている、クロルヘキシジン塩類を有効成分とする医薬(部外)品(オロナイン等)には、その旨が注意事項として記載されています。
●国民生活センターによる注意喚起文書
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20231213_1.pdf
●点痣膏(ディエンジーガオ)の配合成分情報
酸化カルシウム(生石灰)、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、グリセリン、脱イオン水、酢酸クロルヘキシジン(有効成分;0.01〜0.3%)、ボルネオール、水添ヒマシ油、着色料、メントール
広く市民に化学物質リスクコミュニケーション情報を提供するFMGとしても、化粧品等を購入・使用の際は、必ず成分表示を確認し、少しでも気がかりな点がある場合は、些細なことであっても、必ず化学の専門家に相談するよう、注意喚起します。(素人判断や無関心は厳禁です。化学専門家による化学物質リスクコミュニケーション(成分鑑定・相談)サービスは、銀鮒の里アカウントをお持ちの方に、無償で提供しています。)そして、国の承認を受けていない個人輸入品や素人が作成した未承認化粧品の使用は、完全に自己責任となり、万一、それらの使用が原因で健康被害等が起きても、救済措置を受けることはきわめて難しくなる可能性があることも警告しておきます。とにかく、信憑性が怪しい商業SNSに流れる情報をきっかけに、得体のしれない化粧品等を買うような行為は、なによりあなた自身を守るために、絶対にやめてください。
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