化学物質のリスク・コミュニケーションに関する情報は、必ず、化学の専門家から得てください
「(マルチ商法の)○○博士が言ったことだから絶対信用できる」「△△という化学物質は危険だとセミナーで言っていたよ」など、化学を学んだ経験のない素人が、根拠のない又伝えや又聞きをすることによって、ニセ科学がまたたく間に拡散するといった問題が、商業SNSや地域活動の人間関係の中で問題となっています。
生命活動の本質は、化学反応の集まりです。化学物質は、そのような生命活動に直接的ないしは間接的に影響を及ぼす場合も少なくなく、そのような作用のうち、好ましくない作用のことを毒性作用といいます。化学を本質的に理解していない素人が、何でも知っている専門家であるかのように偽り、信憑性のない情報を流布する行為は、崇高なる真正な化学に対する冒涜であると同時に、公衆衛生や環境保全に対する重大な挑発行為といえます。
化学物質に関する情報は、その発信元が、化学に関連する博士号の保有者であるなど、客観的根拠のある有資格者であるかどうかを確認してから得るようにし、素人からの又聞きや又伝えは絶対にしないようにしてください。とくに、商業SNSに出回るもっともらしい情報は、非常に危険であり、すべてウソだと割り切ってほぼ正解です。商業SNSからの情報は、絶対に信用せず、化学物質に関して気になることは、どれだけ些細なことであっても、必ず化学の専門家に相談するようにしてください。
たとえ医師のような、特定の分野に高度の専門性がある属性の人であっても、必ずしも化学に精通しているとはかぎりません。化学物質に関する情報に関しては、化学の専門家でなければ、信憑性に疑問がある場合があります。例えば、医療行為で、人体や環境に対するリスクが高い化学物質が使われることは、よくあることです。そのような場合には、客観性の高い根拠がある安心安全のために、化学の専門家に、第三者的な意見(サード・オピニオン)を求めること※をおすすめします。(例:歯科での医療行為や処方薬で使用される口腔殺菌剤の分子構造やそれに起因し想定される毒性リスク など)基本的に、医療に関することは、医師の指導に従うべきですが、そのなかで、化学物質に関して気になることに特化して、化学の専門家にサード・オピニオンを求め、その結果を医師にそのことを伝えたうえで、代替法の選択などに関して、医師からあらためて納得の行く医療判断を仰ぐことは、化学物質に過度に依存しないよりよい医療の実現のために、十分にありうることです。
※ 法令上、博士などの化学の専門家が助言することは、(医療行為などで使用される)化学物質に関することのみです。医療に関することは、必ず医師や薬剤師に相談してください。
餅は餅屋です。化学物質が関わる専門性の高い判断は、化学の専門家に任せましょう。
【ご案内】
この記事の著者、オカヤマンヘンな鮒は博士(農学)(取得大学院:岡山大学大学院;専門分野:環境化学・農芸化学 等)などの化学関連の有資格者です。営利を目的としない個人や団体には、無償で化学物質に関する相談に対応しています。安心してご相談ください。
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