台湾ラクトパミン豚肉国民投票、反対多数で米禁輸解除を継続へ

台湾国民党の提案により、18日に実施された、肥育ホルモン剤ラクトパミンを使用した米国産豚肉の再禁輸の是非を問う台湾国民投票は、反対多数により否決された。この結果は、再禁輸による台米関係の悪化を恐れ、再禁輸の反対を主張してきた蔡総統による台湾の現政権を信任するものとされる。国民投票を提案した国民党は、現政権による肥育ホルモン剤を含むかもしれない米国産豚肉の禁輸解除に関して、「国民の健康よりも対米忖度を重視している」と蔡政権を痛烈に批判、当初は再禁輸賛成派が優勢とされた。しかし、再禁輸賛成の世論に危機感を感じた与党の民進党が党員や支持者を総動員して、反対派拡大の作戦を展開し、その結果として巻き返しに成功したかたちだ。

【独自】肥育ホルモン剤ラクトパミンとは

内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)として悪名高いビスフェノールA(BPA)と同様のジェミニ(双子)型フェノール化合物といえる合成肥育ホルモン剤。合成ホルモン剤には、ホルモンレセプターに効率的に結合・作動させるために、立体障害の少ないp-ヒドロキシフェニル基を導入したものが多い。合成ホルモン剤以外でも、p-ヒドロキシフェニル基や立体障害の小さいフェノール構造をもつ化学物質には、内分泌撹乱作用が疑われるものが多い。(例:ブチルパラベン、トリクロサン)ラクトパミンに関しては、「その大部分が糞尿に排泄される」として問題がないという見方もある一方で、超少量曝露でも何らかの毒性作用を及ぼすおそれがあるとして問題となった環境ホルモンの典型としての分子構造を持つことは、リスクコミュニケーションにおける重要な着眼点である。(下の構造式を参照)このことから考えて、肥育ホルモン剤の投与が疑われる豚肉などの畜肉は摂取しないのが無難であるといえる。

肥育ホルモン剤は、短い肥育期間で効率的に肉量を増やすという商業的な都合で、飼料に添加して使用されるが、日本国内では、ラクトパミンなどの肥育ホルモン剤は、動物用医薬品としての登録がないため、国産の豚肉や牛肉等の生産で使用されることはない。

【資料】肥育ホルモンについて(農林水産省)

肥育ホルモンについて:農林水産省
ラクトパミン
ラクトパミンのデジタル分子模型(空間充填モデル)
ビスフェノールA
ビスフェノールAのデジタル分子模型(空間充填モデル)
ブチルパラベン
ブチルパラベンのデジタル分子模型(空間充填モデル)

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