【チセミラ】エナジードリンクは低知性者の飲み物です

エナジードリンクのほとんどは「欺瞞的マーケティング」でできている

エナジードリンクにおける世界的先駆者といわれるスイスのレッドブル。その内容量あたりの価格は、一般的な清涼飲料水の2倍以上となっています。それにもかかわらず、絶妙なおバカ感のアニメーションを「レッドブル翼を授ける」というキャッチコピーで締めるという強烈な印象を定着させる狙いは見事に的中し、一時は若年層を中心にして大ヒットを飛ばしました。このようなことに加えて、自社工場を持たない完全外注生産方式や、広告代理店のようにマーケティングに専念するという、食品企業としては型破りなビジネスモデルが、マーケティングの成功事例としてしばしば引き合いに出されるように、レッドブルをはじめとするエナジードリンクの原価のほとんどは、広告宣伝のマーケティング費(無形費用)であり、内容物正味の原価はゼロに近いとみられています。

最近では、後発のモンスターエナジー(国内販売:アサヒ飲料)がエナジードリンク市場シェアの首位を獲得する一方で、レッドブルは、ドン・キホーテなどで値下げ販売してもなお売れない状況にあるといいます。エナジードリンクは一過性で儚いマーケティングに捧げ、ブームが去ったあとはひっそりと忘れ去られるという、中身のないハッタリ商品の典型的な運命を辿ることがよくわかります。

記者自らが人体実験で検証!その結果は…

未成年者を含む若年者がエナジードリンクを飲みすぎて急性カフェイン中毒になるという事例が多発するという、日本の堕落を象徴するような社会問題に心を痛め、「なんとしてもこどもたちの心とからだを守り抜かなければ」と、教育者として、いても立ってもいられない記者は、レッドブルとほぼ同じ原材料組成でありながら、レッドブルの3分の1以下の価格で入手できるジェネリック品(いわゆる「パチモノ」で、合成甘味料や合成保存料、合成甘味料を含まないタイプ)を飲んで、その「効き方」について、身を張って検証をしたことがあります。

よく問題とされるカフェイン(食品成分)の効き方ですが、エナジードリンクのカフェインが効いたという実感はほとんどなく、頭の冴え方は、無糖のブラックコーヒーの比にならないほどです。同時に多く含まれる糖分(果糖ブドウ糖液糖)が血糖値を急激に上昇させる働きで、懈さを催すほうが気になるくらいです。それもそのはずで、実は、同量あたりのカフェインの含有量では、無糖のブラックコーヒーのほうがはるかに多く、100mLあたりで60〜70mg、約200mLのビジネスジョッキでは、一杯で120〜140mg含まれることになります。これに対して、エナジードリンクに含まれるカフェインの量としては、250mL缶でもわずか75mgと、頭脳労働の助けには到底ならないくらいの少量しか含まれていません。頭脳労働の生産性が高い人の多くは、無糖のブラックコーヒーを「仕事のお供」として愛飲していますが、エナジードリンクを飲む人は聞いたことがありません。逆に、エナジードリンクを飲む人は、「知性が低く、俗説や流行に流されやすく、自分の考えをもたない、できないヤツだな」と一発でバレることになりますので、(FMGの読者にはいないとは思いますが、念のため)注意が必要です。

ではなぜ、エナジードリンクそのもののカフェイン量はさほど多くはないのに、エナジードリンクでのカフェイン過剰摂取が問題となるのでしょうか。その理由は、ついつい飲みすぎて依存状態を誘発してしまうような、メーカー側が仕組んだあの手この手の戦略にあります。

ストロベリーやグレープ、バニラを模したような、あの独特なシンセティックなフレーバーは、リポビタンDなどの定番フレーバーとして使用されたことから、「このフレーバーなら元気が出そうだ」という単なる条件反射をもたらすことになったのです。元気になれそうだと思うのは、カフェインやビタミンB群、アミノ酸の働きによるものではなく、あの独特な「ドリンク剤フレーバー」による条件反射によるものだったのです。カフェイン以外にも、ビタミンB群やアミノ酸の含量も、入っているという口実づくりのために十分な程度の量しか含まれていないことも、成分を確認する習慣のある人ならすぐに見抜けるはずです。

そんな中途半端な成分組成のエナジードリンクですが、この「ドリンク剤フレーバー」でありながら「薬のようで薬ではない清涼飲料水」ということで、カジュアル飲用をするごとに元気になったと錯覚することを繰り返すうちに、その偽の高揚感が癖になり、1日10本前後も飲用して急性カフェイン中毒を発症し、気づけば救急搬送ということになるわけです。一方、コーヒーは苦味や香りが強いうえ、知的な大人の嗜みということで自制が働きやすいため、エナジードリンクのように飲み過ぎによるカフェイン過剰摂取が問題になるようなことは少ないわけです。

このように、エナジードリンクによるカフェイン過剰摂取トラブルは、メーカーが巧みに仕組んできた、「薬のようで薬ではない清涼飲料水」というエナジードリンク特有の心理的依存に陥れる多段の罠によって引き起こされるものだということがおわかりいただけると思います。

ゲーム中毒者と非行少年がこよなく愛するモンスターエナジー&ZONe「これさえ飲めば廃人一直線だ!」

モンスターエナジーのステッカーを貼ったバイクを爆音を立てて走る非行少年をよく見かけます。また、将来はeスポーツプレイヤーやゲームクリエイターを夢見るこどもや若者のゲーム障害予備軍は、片手に商業ゲームのコントローラー、もう片手にはモンスターエナジーやZONe(サントリーフーズ)をというスタイルが定番になっているといいます。モンスターエナジーやZONeの缶のデザインは、このような低知性・依存派層の嗜好をくすぐるものになっています。前にも示したように、モンスターエナジーやZONeを持っていると、それだけで低知性だと見られてしまうだけの破壊力があります。このFMGの読者には、そのような人はいないとは確信しますが、念のため注意喚起をしておきます。

内容物の原材料も、原材料を確認する習慣のない人の心をガッチリ掴むものになっていて、多くの商品に安息香酸ナトリウムやスクラロースなどの合成甘味料、さらにひどいものでは、黄色4号などの合成着色料まで添加されているものも少なくありません。(モンスターエナジーやZONeにも、そのような商品が多くみられます。)

成人限定のストロングチューハイを法規制すべきという議論もありますが、それ以上に、エナジードリンクの問題は、お酒ではないので未成年者の飲用にも規制がなく、そのうえ、有害な食品添加物も多く仕込まれたり、商業ゲームなどの他の不摂生とセットになることの負のシナジー効果で、より根深い問題であるともいえます。明日、いよいよ、アスパルテームの発がん性分類結果がIARCによって発表されますが、この機運にうまく乗るかたちで、エナジードリンクの具体的な規制議論にもつなげていきたいものです。読者の皆様もよく考えてみてください。

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