【悪質】資生堂、サンスクリーン剤の店頭販売でリスコミ忌避疑惑浮上、成分確認を諦めさせ買わせている疑い

資生堂のロゴ

化粧品大手の資生堂(東京都中央区)が、サンスクリーン(日焼け止め)剤「ANESSA(アネッサ)」シリーズのテスター(試用品)を含む販促ツールに、化粧品に表示が義務付けられている全成分表示を一切行わず、購入時でないと全成分表示が記載された商品を確認できない状態で販売しているという、露骨なリスクコミュニケーション忌避ともとられかねない販売実態があることを、ふなあん市民運動メディアが突き止めました。購入希望の商品が描かれた盗難防止のモック箱をレジに持って行き、支払時に商品現物と引き換えるという販売方法ですが、その各商品のモック箱に、その商品の全成分情報が記載していれば、全成分情報をもとに、購入するかどうかの意思決定ができますので、とくに問題はありません。しかし、資生堂のアネッサシリーズの場合は、そのモック箱にもテスター外装にもPOPにも、全成分情報の記載は見つけることはできず、全成分情報の確認で購入するかどうかの意思決定を行うことができない状態で販売されているのです。

サンスクリーン剤のリスクコミュニケーションをめぐっては、近年、世界各地の観光海岸(海水浴・サーフスポット)を有する国や地域が、サンゴを死滅させる毒性が疑われるとして、オキシベンゾンなどベンゾフェノン構造を持つ成分など高リスク成分を含むとされるサンスクリーン剤の使用を禁止する法律(条例)を制定する動きが相次いでおり、環境化学でも、ベンゾフェノン骨格を持つサンスクリーン成分の内分泌撹乱作用などの毒性に関する議論が関心事になっています。また、ベンゾフェノン構造ではないものの、類似の構造をもつオクトクリレンなどの大きな共役系をもつ類縁物質についても、類似の毒性が疑われていることから、一部の地域で禁止されていますが、資生堂のアネッサシリーズでは、「(議論はあるものの資生堂としては)問題がないと考える」として、配合されている製品があることを確認しています。アネッサシリーズなどの製品の全成分情報を資生堂のウェブサイトで確認することは、かなり面倒ですが、このことからも、リスクコミュニケーション忌避の意図があるものと疑われます。リスクコミュニケーション忌避は、とくに化粧品などの化学関連企業では、悪質なプラクティスであるといえることです。

●資生堂ウェブサイト(トップページ)

資生堂‐化粧品・美容の情報

トップページから、各製品の全成分情報にアクセスすることが困難であることをご確認ください。

オクトクリレンの構造式
ベンゾフェノン類に似た構造を持つうえ、毒性が強い化合物に多くみられるニトリル構造も持つ。そのものは内分泌撹乱作用でシロであっても、代謝活性化されることで、内分泌撹乱作用などの毒性作用が新たに生じる可能性も否定できないため、その使用は慎重であるべきである。
オキシベンゾンの構造式
内分泌撹乱作用などによる強い環境毒性作用が明らかにされていることもあり、米ハワイ州などのように使用が禁止されている地域もあり、全世界的に規制の動きがある。
オクチノキサートの構造式
自然派を謳う化粧品を含めて、最も多く使用されているサンスクリーン剤であるが、その強い毒性が明らかにされ、全世界的に規制の動きが進んでいる。米ハワイ州の観光ビーチでの使用が禁止されている成分のひとつ。

●資生堂によるオクトクリレンのリスクコミュニケーションページ

オクトクリレン | 資生堂

●資生堂によるオキシベンゾンのリスクコミュニケーションページ

オキシベンゾン-3 | 資生堂

●資生堂によるオクチノキサートのリスクコミュニケーションページ

オクチノキサート | 資生堂

上記の化学物質は、すべて資生堂のサンスクリーン商品で使用実績があるものです。(うち、オキシベンゾンについては、代替化による使用削減の傾向にあるとみられます。)その高いリスクから、使用を禁止している地域があるにもかかわらず、使用すると結論づけている説明には無理があるといえます。問題が指摘されている類縁物質の構造式情報と比較のうえ、予防の原則に基づいた冷静な判断が求められます。また、高リスクの農薬にもみられるような分子構造をもっているものを肌に長時間、意図的に付着させるわけですから、人体への悪影響の可能性も否定できないものです。心配であれば、酸化チタンなどの光を散乱・反射させることで、紫外線の肌への吸収を防止する成分を含むタイプの日焼け止め剤に代替するべきです。また、色の濃い野菜やお茶、玄米、スパイス類に含まれる、大きな共役系を持つファイトケミカル(植物由来天然有機化合物)類は、紫外線による肌ストレスを軽減する作用があるため、ファイトケミカル類を多く含む食品を意識的に多めに摂取することも重要な意味があります。(記者の場合は、サンスクリーン剤を使用せず、ファイトケミカル類を多めに摂取することで、紫外線による肌ストレスを軽減するようにしています。紫外線には、ビタミンD類の産生促進効果があるなどの健康上のメリットもあり、食生活などでのケアが十分にできていれば、日焼け自体は健康に悪いことではありません。日焼け止めで無理に抑えることだけにこだわらず、日焼けに積極的に向き合う考え方も大切です。)

顧客対応も悪い資生堂

東京・銀座の資生堂といえば、上品で華々しい日本企業の象徴的存在だというイメージをもたれている方は多いと思います。実際にも、ほんとうにそのようなイメージどおりの体質の会社なのでしょうか。真実を確認するために、ふなあん市民運動メディアは、資生堂にコミュニケーションを申し出ました。

顧客側が電話でコミュニケーションを行う窓口はお客様相談室1つしかありません。そして、そのお客様相談室での応対者は化学の素人が対応しており、化学の専門家集団であるはずの研究部門に電話をつなぐことも、本社の代表電話を通じてつないでもらうことも拒否されます。そのため、化学の素人であるお客様相談室の応対者に帰する事由のために、製品の化学的なことでわからなければ、その問い合わせで知る機会は完全に閉ざされることになります。「お客様相談室でわからないことは、(知ることを)あきらめてもらって、知らぬが仏志向のお客様にはハッタリだらけの商品をくれてやる」と言わんばかりの傲慢な姿勢、それが、資生堂の現実の姿なのです。

他のメーカーとの比較

花王子会社のカネボウ化粧品(東京都中央区)のALLIE(アリィー)も、資生堂のアネッサと同様に、現物盗難防止のモック箱陳列で販売されることがありますが、資生堂アネッサのモック箱には全成分情報の記載がなかったのに対して、アリィーのモック箱には全成分表示がなされていました。他にも、ドラッグストアで販売展開のあるサンスクリーン剤のメーカーには、ロート製薬(大阪市)のサンプレイやマツモトキヨシ(千葉県松戸市)PB品(MatsuKiyo LAB)などがありますが、これらは低価格ラインのためか、現物陳列の場合が多く、問題なく全成分表示を確認することができます。現在のところは、他社製品で資生堂のような問題事例は確認していませんが、念のため、資生堂と同様の事例がないかどうか、他社についても継続して監視していきます。

善良なリスクコミュニケーションの推進のために

これら一連の問題を重く受けとめたふなあん市民運動メディアは、資生堂に対して、販促ツールのテスターなどにも全成分表示をし、配合成分について十分に理解した上で、購入するかどうかの意思決定ができるようにすることと、自社ウェブサイトのトップページから、全製品の全成分情報に誰でも簡単にアクセスできるように、ウェブサイトでの情報開示の改善を行うよう要請しました。あわせて、週明けには、消費者庁にも、資生堂のリスクコミュニケーション忌避の問題事例について報告のうえ、購入に際しての公正な意思決定につながるようなリスクコミュニケーションを推進するよう、法改正を含めた政策提言を行うことも検討しています。

化粧品の購入に際しては必ず全成分の確認を、不明な点は化学の専門家にご相談を

全成分表示は、消費者の安全を確保するための知る権利を保障するものであり、それを確認せずに購入することは、あなたや周辺環境にとって危険を伴うことがあります。今回取り上げたサンスクリーン剤のように、有害物質が含まれている場合も少なくありません。化粧品(医薬部外品に該当する薬用化粧品を含みます)の購入に際しては、必ず全成分表示をご確認の上で、購入するかどうかの意思決定を慎重に行ってください。また、全成分を読んでみて、少しでも不明なことがある場合には、その場での購入はせず、化学の専門家(農芸化学・環境化学系の博士またはそれと同等級)に相談し、それから購入するかどうかの意思決定を行う習慣にしてください。

この記事のコメント機能で、その場でサンスクリーン剤のリスクコミュニケーションに関する相談ができます。(この記事の記者は、化学の専門家です。)ぜひ、銀鮒の里アカウントをご取得いただき、ログインのうえでご利用ください。(ご相談は無料です。)

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