NHKの料理番組「きょうの料理」などでおなじみの料理研究家 栗原はるみ氏監修のカレールーに、合成甘味料が使用されていることが、FMGの調査でわかりました。問題の商品は、エスビー食品(東京都中央区)の「栗原はるみ わたしのカレー」です。この商品のパッケージは、やさしいイラストタッチのバックグラウンドに「化学調味料無添加」と目立つように表記されており、より手作りの安心感を求める意識がやや高めで知性中庸の凡人をターゲットにしているとみられます。パッケージ裏の原材料表記を確認してみると、一般に化学調味料と呼ばれるL-グルタミン酸ナトリウムなどは使用されていなくても、合成甘味料のアセスルファムカリウムとスクラロースが使用されていることが確認できます。
景品表示法上の問題を問えるか?
この場合、日本の景品表示法の制度は、消費者庁が所管しており、建前上は消費者保護のためとしながらも、実態としては、やや業界側に甘くなっているため、このケースでは、景品表示法上の優良誤認を問うことは難しいと考えられます。
「化学調味料無添加」と、やさしいタッチのパッケージで、一見して「まさか合成添加物なんか…」と錯覚してしまいそうな、狡さを感じずにはいられないパッケージですが、残念ながら、法的解釈では、「化学調味料無添加だから合成甘味料が入っていないはずだと決めつけてしまうのは、各個人の主観によるものであって、事実を記載しているかぎり、法的には問題ない」と結論づけられる公算が高いとみられます。消費者庁も同様の回答をすると考えられますので、気になる方は、消費者庁やお住まいの地域の消費生活センターに直接確認してみてください。
原材料表示の確認が絶対不可欠
このことから、パッケージのイメージを鵜呑みにせず、懐疑的に捉えたうえで、各自で原材料表示を確認して、購入の可否を判断することが、最良にして唯一の防衛策といえます。いずれにせよ、原材料表示の確認は、市民運動(消費者運動)の常識といえる行動ですから、日頃から生活術の基本として実践できていれば、冷静に対応でき、とくに問題はないといえます。
パッケージの印象を鵜呑みにしてしまうようなマーケティング手法は、知性がさほど高くはない中庸以下の知性層をターゲットにしていますが、日頃から知性を高めておくことは、このようなケースに対する防衛策を柔軟に講じるうえで欠かせないことです。FMGの読者のみなさまは、知性が高めの方が多いと思われますので、問題はないと確信するところですが、くれぐれもご注意ください。
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