岐阜県は19日午前、同県本巣市内の採卵養鶏場の鳥インフルエンザ疑い事例について、遺伝子検査の結果、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜であることを確認したと発表しました。これにより岐阜県では、この採卵養鶏場の採卵鶏の全数にあたる約1万5,000羽の殺処分を始めたということです。
「消石灰や消毒薬を撒いても…」付け焼き刃防疫の限界に気づくべき
県レベルの各自治体では、防疫資材の確保や億規模の鳥インフル防疫対策予算を組むなど、毎年のようにこの時期には対策が急がれています。これだけやっていれば、鳥インフルエンザは根絶されて当然と思う方もあるかもしれません。しかし、残念ながら現実はそうではありません。鳥インフルエンザは、不意の隙を狙うかのように、ネズミや昆虫、カラスなどの野鳥などがウイルスを持ち込み、それに、免疫力がだだ下がりした超過密飼育の鶏に大量感染することのいたちごっこが繰り返されているのです。
サステナビリティ界隈では、養鶏に対して多大な税金や労働力を投入しては無駄にする行政の特権階級的対応を皮肉ります。有事の際には県職員を大量動員し、それでも間に合わなければ、自衛隊に災害派遣を要請する。鳥インフルエンザは人災です。このような人災でこのような至れり尽くせりの対応を行う業界が他にあるでしょうか。逆をいえば、養鶏業界にこれだけのお金と労力を注ぎ込めるほど、県などの公務は暇だということでしょうか。そのようなことはないはずです。鳥インフルエンザ防疫で県庁などの仕事も予算も奪われるのは、重大な公的損失といわずして何だというのでしょうか。いい加減にこの矛盾に気づくべきです。さらに、人獣共通感染症として、ヒト新型インフルエンザへの変異で、人間社会にも牙をむくのも時間の問題となっています。国や自治体が今、取り組むべきこと、それは、養鶏の縮小と養鶏から他の農業業態への転換政策を具体的に進めていくことではないでしょうか。
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