バレリアンが開花間近
昨春に播種し、自圃育苗を行ったバレリアン(Valeriana officinalis;スイカズラ科)が開花間近です。
バレリアンは、メドウスイートなどと並んで、化学史(とくに薬学史)を語るうえで欠かせない、歴史のある薬用植物のひとつで、炭素数5の脂肪酸を(イソ)吉草酸((iso)valeric acid)と呼ぶことは、そのことをよく物語っています。根に鎮静作用がある精油が含まれているほか、近年でも新規成分が発見されたり、化学生態学上の新規の知見が見出されるなど、いつの時代も話題に事欠かない植物です。原産地はバルカン半島を中心としたヨーロッパとされています。発芽に手間がかかり、春化処理開始から含めると、発芽・活着までに1ヶ月以上かかります。しかも、活着率は決して高くなく、発根した種子のうち、発芽・活着に至るのはわずかです。しかし、一度本葉が出てくると、その後は、春か秋の生育適正温度であれば、ものすごい勢いで生育し、あの幼苗期の手間やヒヤヒヤがうそのようです。常に湿り気がある、石灰質が豊富で肥沃な土を好むとされており、能勢の厳寒にも酷暑にも耐える、非常に優秀な植栽特性があります。現在、能勢のイチオシ宿根草にすることを目指して、数年がかりで株数を増やしています。
和種のカノコソウ(Valeriana fauriei)は一足先に、ちらほらと咲き始めました。これからが見頃になります。ちなみに、カノコソウは、今、何かと話題の小林製薬の女性保健薬「命の母A」の生薬成分のひとつとなっている植物としても知られています。
※能勢・ぎんぶなのうえんのバレリアナは、人間用の薬用としてではなく、IPMに活用可能なコンパニオンプランツ(いわゆる「植える農薬」)やガーデニング素材用の宿根草とすることを目指して栽培しています。
イタリア伝統品種のトマトが発芽
イタリアの中でも、とくに生ハムなどのガストロノミーで有名なパルマ地方。そのパルマ地方に伝わる伝統品種(固定種)の、風味濃厚な中大玉トマトを、今年初めて栽培します。おそらく、日本の市場で出回ることはほぼ皆無ですし、栽培管理責任者の私もまだ食べたことのない品種です。カプレーゼがメインディッシュになる、そんなインパクトがあるトマトです。この写真は、播種後8日の写真ですが、このところの高温傾向が手伝い、かなり早めの発芽で、これには正直なところ驚きました。同時に蒔いているカラブリア甘唐辛子はまだ発芽していませんでした。唐辛子類はもともと発芽温度が高めで、2週間程度はかかるとみられます。カラブリア甘唐辛子の発芽も期待されます。
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