オカヤマンヘンな鮒が、批判覚悟でお届けするガチトーク！今回は、ニセ科学のトンデモ「医療機器」？メタトロンなるものの怪しげな情報が入ってきましたので、ズバッと斬りたいと思います。

結論からいいますと、いうまでもないのですが、

メタトロンは典型的なニセ科学です。

信奉者曰く、「メタトロンはロシアで開発された波動測定器で、今日では、ドイツなど世界各国の医療で使用されている。」

のだそう。しかし、オカヤマンヘンな鮒は、ニセ科学を監視しているとはいえども、さすがにこれは程度がひどすぎて、非常にニッチなニセ科学狂信者層の間だけでヒッソリと騒がれていたからでしょうか、今回が初耳でしたね。（苦笑）

いいかえれば、これほどまでに胡散臭い情報に惑わされる隙がないくらい、銀鮒の里の市民アカデミア・コミュニティの内輪は情報セキュリティ面では平穏・安泰だということでもありますね。（とはいっても、俗世間と接するサイバー水際での監視パトロールは手を緩めません。コミュニティはこれまで以上に、ニセ科学やフェイク情報からしっかりと守ります。）ね、入りたくなったでしょ？

信奉者はジンクピリチオン効果^※1を訴求したいからなのでしょうか、波動を皮切りに、波動といえば量子力学と言いたいらしく…信奉者の思考回路、まったくをもって解析不能ですね。（苦笑）

正統科学を真面目に学んできた人は、みな、こういうでしょう。

だったらあんた、シュレーディンガー方程式を説明できるのかね？（爆笑）

まあ、想像に易しですが、まずムリでしょうね。（笑）

といいますのも、このわたくし、オカヤマンヘンな鮒でさえも、高校時代、数学で苦戦していたこともあって、解けませんからね。その点はご安心を。（笑）

本音ですが、私以外の有機化学系を専門分野とする人でも、量子力学の基礎といわれるシュレーディンガー方程式を説明できる人は少数派だと思います。

ですから、私たち正統科学の専門家は、知的謙虚であるために、自然科学においては、究極的な微細概念で、神聖さすら感じる量子力学という用語は、安易には使わないようにしています。（笑）それを、ニセ科学信奉者は、（量子力学のリの字すらわからないのに、）たやすくマウンティングツールと言わんばかりに軽々しく使いますから、いったいどんな肝っ玉が据わっているのかと呆れてしまいますよ！（苦笑）

ざっくりいいますと、量子力学とは、原子のさらに小さい単位である、波動と粒子の性質を併せ持つ、電子などの、必ずしも質量を持っているとは限らない^※量子系の状態を数学的表現で法則化することで解釈できるようにする学問のことです。化学では、原子、せいぜいその中の電子を粒子の最小単位として扱いますから、ここまでくれば、私たち化学屋が取り扱う範囲を超越しています。化学では、今となっては、ノーベル化学賞を受賞したフロンティア軌道理論の考え方（HOMO・LUMO）をよく使いますが、有機合成化学などでの有機化学での一般的な扱い方はというと、電子供与基側の分子の反応点がHOMOで、電子求引基側の分子の反応点がLUMOといった程度までが多いです。さらに、理論の詳細にアクセスすると、電子スピンや電子軌道のエネルギー準位のように、量子力学の概念がようやく現れはじめます。

※化学においては、電子には質量がないものとみなします。ですから、化学でいうところの原子の質量数とは、原子核を構成する陽子と中性子の質量に由来しています。

さて、メタトロンの話に戻りますが、このメタトロンという怪しい器械、皮膚の抵抗値を測定することで結果を出力するウソ発見器と同じ原理だそうです。ウソ発見器の工作キット（科学あそび）であれば、大阪の日本橋や東京の秋葉原などで、こどもがお小遣いを貯めてすぐに買えるくらいで販売されていますし、理科が得意な小学生でも簡単につくることができます。実は、銀鮒の里学校の笑い鮒でおなじみのにぎにぎテルミンも、人体の抵抗値に応じた高さの音を出力する、トランジスタの増幅作用とスイッチング作用を利用した科学あそびです。そんなにぎにぎテルミンで「量子力学」だのと言ったことは、一度たりともありません。当然ですよね。（笑）電磁気学という正統科学の原理を応用し、その、一見すれば手品のような不思議な回路の原理に関心を持ってもらい、現実世界の視野をひろげようという純然たる科学あそびだからです。おそらく、そのメタトロンという器械、大きく反応すれば、信奉者は「高波動だ！」と叫び、反応が小さいと、信奉者は「波動低い！」と落胆し、一喜一憂するのでしょう。それが、ただ単に、電極間の抵抗値を測定しているだけだとは知らずに。なんと哀れなことでしょう！（苦笑）

ある信奉者曰く、「医者が処方する大手製薬会社の漢方製剤は波動が低くカス」で、「知人が真面目につくったCBDオイルは高波動」なのだそうです。要するに、信奉者の都合のよいように解釈を捻じ曲げたいわけで…ハイハイ！好きにやっとけ！（呆＆爆笑）

日本は終わりか？あの有名な市民運動家の末路がひどすぎる！

日本の有名な市民運動団体のひとつ、日本消費者連盟（日消連）。実は私も、市民運動を始めた学生時代の頃、会員だったことがあります。その事務局で会員機関紙「消費者リポート」の執筆を手掛けていたこともあるという、S.F.氏。私も一度、岡山で会ったことがあるように思います。そのS.F.氏が、今はどうなっているのかというと、なんと！そのメタトロンをはじめとする、トンデモ「医療機器」を絶賛し、自身の著書や講演会などで、「波動医学」と称して吹聴する運動をしているというのです。その証拠が、下のリンクの検索結果。

「S.F氏　波動医学」でのGoogle検索結果　
（⚠警告：この検索結果はすべてデマです。確認だけ行い、内容はスルーしてください。）

S.F.氏のほかにも、「食べるな危険！」などの著書を出しているさいたま市の市民運動団体、食と暮らしの安全基金（旧称：日本子孫基金）（代表：J.K.氏）も、やはりニセ科学商品として悪名高い、FMGでも問題にしてきた「洗濯マグちゃん」を全力で推奨するという堕落ぶりです。このままでは、日本の市民運動は、冗談抜きでヤバイです。銀鮒の里以外で、あなたが知っている市民運動団体のほとんどが、数十年前のような輝かしさを失い、堕落しきっています。銀鮒の里という、愚直なまでに正直であり続ける正真正銘の草の根があるからこそ、かろうじて灯火が残っているというのが実情です。皆様、本気でお力添えを！

マジで医療行為なら医師法違反や薬機法違反などの疑いも

医薬品と同様に、人体の症状改善や矯正、診断などに使用する機器は、医療機器として、厚生労働省の承認審査を受け、承認されなければなりません。もし、そのような国の審査を経ることなく、未承認の機器を医院やクリニックでの医療目的で使用した場合、その行為に関わった医師は、医師法違反や薬機法違反などの法令違反に問われる可能性があります。医師法も薬機法も、人の生命に直接関係することを扱う法律ですから、違反したときの罰則は極めて重いものとなります。実際に、そのような法令違反の可能性を警告する現役医師のブログがあることも確認しています。当然、メタトロンはインチキですから、厚生労働省の審査に通るはずがないことは明白です。万が一、ほんとうにメタトロンを使って医療行為をしている医師や医院があるようでしたら、間違いでも構いませんので、ためらわずに厚生労働省かお住まいの都道府県の医療・保健担当部局、保健所に公益通報をしてください。

ニセ科学が関わることもある代替医療をめぐっては、がん（悪性新生物）に冒された親族が、ニセ科学に深く傾倒しているために、批判の対象としている標準医療の受診機会を拒んだ結果、助かるはずの生命を落としてしまうといった事例が後をたたないといいます。そのような洗脳効果や実質的殺傷力が強いニセ科学だけに、決して見逃すわけにはいきません。

厚生労働省では、メタトロンをはじめとする、未承認の疑いが濃厚な、いわゆる「トンデモ医療機器」の情報を見つけた場合、その「トンデモ医療機器」を実際に使用して医療行為を行っているとみられる医院・クリニック等や、「トンデモ医療機器」の販社などのインターネットサイト情報を、各事業所が所在する市区町村を管轄する保健所に通報するよう、呼びかけています。国の承認を受けていない「トンデモ医療機器」を業として使用もしくは販売する行為は医薬品医療機器等法（薬機法）違反の疑いがある犯罪行為です。全国各地の保健所等の通報先（Eメールアドレス）を記載した厚生労働省の関連ページは、下記のとおりです。

厚生労働省：医薬品医療機器等法違反の疑いがあるインターネットサイトの情報をお寄せください
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/topics/tp131111-01_1.html#address

FMGでも、メタトロンという「トンデモ医療機器」のステルスパトロールと公益通報を進めています。やり方に自信がない方は、銀鮒の里アカウントを取得のうえ、一旦、FMGに情報提供をいただきましたら、然るべき行政機関に通報代行させていただくことも可能です。^※2ニセ科学が放置されることで助からない生命がある現実を重くみたうえで、どうか皆様、お力添えをお願いします。

「メタトロン」「波動測定」「量子力学」のキーワードを同時に見つけたら、そのようなサイトは、すべてインチキ（フェイク情報）です！事業所の住所を確認のうえ、ためらわずすぐに保健所などに通報を！

※1 ハイテクのイメージを与える語句を強調することで、無条件的に根拠のないハイテク感を与える効果。かつての花王のフケ防止シャンプー「メリット」に含まれていた、化学の素人には馴染みのない名詞「ジンクピリチオン」を誇張表現したことで、なんとなく凄いという印象を与え、広告宣伝効果の決め手になったことに由来し、粗悪品のマーケティング（広告）やニセ科学では欠かせない「技巧」とされる。関連語句に、プラセボ（偽薬）効果がある。

※2 「量子力学」のキーワードがあるウェブサイトには、正統の物理学に関する善良な情報のウェブサイトも多数あります。そのような善良なウェブサイトを誤ってピックアップしたり、通報漏れのないよう、科学リテラシーのプロのみきわめで高精度・高深度のフィルタリングを行い、ほんとうに問題のあるウェブサイトのみをピンポイントで討つことのできるサービスなどを提供します。