AI激甚災害に残留農薬問題…信用失墜が相次ぎ世界に恥をさらす青森県の農業
台湾に輸出された青森県産りんご(品種:サンふじ)から、台湾の残留農薬基準に違反する残留農薬が検出されたことを、青森テレビ(青森県青森市;TBS(JNN)系列)が28日に報じました。
検出された農薬成分は、有機塩素系殺ダニ剤のテトラジホン(テトラクロロジフェニルスルホン)で、検出された濃度は、0.02ppmでした。このテトラジホンに関して、日本の残留農薬基準では1ppm未満となっており、日本国内では合法のレベルであるものの、輸出先の台湾の残留農薬基準はさらに厳格で、「検出されてはならない」となっています。日本を含め多くの国では、輸入食品の残留農薬は、検疫の抜き取り検査項目となっており、輸入国側での基準違反の疑いがみられた場合は、国の検査命令に基づくクロスチェックのうえ、それでも基準違反が認められた場合には、輸入国側での全量廃棄か輸出国側への全量差し戻し(輸入禁止)の措置がとられます。
テトラジホンは、2個のベンゼン環に4原子の塩素が結合しているため、難生分解性であり、経口摂取などにより曝露を繰り返すことで、(ダイオキシン類などのように)脂肪組織などに蓄積されやすい性質が予測されます。極性構造のスルホン構造を持つものの、塩素化されたベンゼン環による疎水性の寄与が大きいため、水溶解性は0.06mg/Lと、きわめて低くなっており、その分だけ、脂肪組織に移行しやすい性質があると考えられます。(脂肪組織への蓄積性予測の尺度であるオクタノール-水分配係数は、logPOW = 4.6となっています。この値は、テトラジホンが、水と比べて、(擬似脂肪組織としての)1-オクタノールに10の4.6乗倍=約4万倍移行しやすいことを意味しています。典型的な疎水性物質であるといえます。)このようなPOPs農薬としての毒性リスクを高く見積り、台湾では、検出されてはならない農薬の成分のひとつに指定しているとみられます。台湾は、豚成長ホルモン剤のラクトパミンの使用の是非をめぐり、国民投票が起こったことが記憶に新しいですが、日本のメディアの多くは、食品安全に関しての、日本とのあまりにも大きな国民意識の違いに、驚きを隠せませんでした。現在の日本の食品安全行政は、世界全体でみても、農薬や合成添加物などの化学工業界への忖度もあり、大きく遅れをとっていることが国内外から指摘されており、今回の青森県産りんごの台湾残留農薬基準違反の例は、皮肉にもこのことを如実に現す例のひとつとなりました。青森県では、横浜町の同一の養鶏場で同年2例発生した肉用鶏AI禍や、本日、殺処分が完了する予定となっている137万羽のバタリーケージ採卵養鶏場AI激甚災害も起こっており、青森県や日本の農林水産省には、サステナビリティを意識した農林水産政策の抜本的な見直しを迫られることになりそうです。親日派が多い印象があるアジアの先進国、台湾ですが、台湾当局は、こればかりは、厳しくノーを突き付けざるを得なかったようです。
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