8月は、部落差別等あらゆる不当な差別をなくす運動月間です。では、不当な差別の本質とは何でしょうか。そのような、あらゆる差別をなくすために、あなたがすべきこと、できることとは何でしょうか。
あらゆる不当な差別は無知と搾取思考が原因
例えば、これまでよく問題になってきた部落差別の具体的な差別対象とその社会的背景について考えてみます。
部落差別は多くの場合、枝肉加工、精肉、皮革、毛皮、鶏卵など家禽卵、動物性肥料、レンダリングなど、動物の屠殺が関わる産業が立地集積する地域が部落地域、差別対象の産業への従事の有無にかかわらず、その立地集積地域に住む人が、部落差別の被差別者になってきました。社会の現状を考えるかぎり、ほとんどの人にとって、部落地域の産業は、社会全体を支える存在として欠かせない存在です。生活様式によっては、あなた自身も、部落地域の産業が不可欠であるかもしれません。それにもかかわらず、差別対象の産業について正しく知ろうとせず、自分自身にとって面倒だとか、気味が悪いとか、汚いイメージだとか、不必要だとかという身勝手な言い訳をしては、知らんぷりをしながら、肉を食べたり、皮革製品や毛皮をファッションとして身につけたり、ジャンクフードを食べたりするということが、あなたの身の回りに存在しないでしょうか。そのような無知や、非主体的関与の搾取思考こそが、部落差別などの不当な差別の根本原因なのです。もし、あなたにとって、スーパーや精肉店で買った肉を食べたり、皮革(リアルレザー)製品を身につけることが必要不可欠であったり、マクドナルドのようなジャンクフードがやめられないというのであれば、少なくともあなたにとって、部落差別の対象となる産業による生産物が必要なのであって、あなたは、そのような産業によって支えられているのだということを認めなければなりません。さらに場合によっては、有機栽培の野菜を求める場合でさえも、その栽培方法によっては、部落差別の産業が密接に関わっている場合もあるのです。
まず、あなたの日常生活の変容ができること
もし、あなたが、特定の産業に関して、何らかの問題があると思うのであれば、まずあなたが変わらなければなりません。例えば、屠殺が関わる産業に何らかの問題意識を持っているのであれば、あなたがヴィーガンになること、百歩譲ってもベジタリアンにならなければ、筋が通らないことになってしまいます。また、あなた自身が変容を果たしたとしても、いきなり全否定するのではなく、あなたが考える理想的な平等社会を実現するには、どのような変容過程が必要であるか、そのためには何が必要なのかを考えるべきなのです。社会はいきなり変わることは、現実的にはあり得ません。社会における問題解決は段階を経て行われ、連綿的に、持続的に変容していくものです。あなたは社会全体の参画者であることを自覚したうえで、全体俯瞰的な(ホリスティック)思考を常に行い、自らの実践と照らし合わせて、社会全体の変容に積極的に関わっていくという姿勢が欠かせません。
銀鮒の里がマクドナルドや商業ゲームを禁止する至極当然な理由
聡明なあなたはもうおわかりかと思いますが、念のために説明しておきたいと思います。
マクドナルドのようなジャンクフードの存在の背景には、レンダリング産業は不可欠な存在です。例えば、食に関しての正しいこだわり(食育)を理解しない人が依存に陥るような強烈なグレイビー(肉エキス)様味を実現するにも、マックフライポテトのあのサクサク食感を実現するためにも、レンダリング産業は大きく貢献しているのです。しかし、マクドナルドなどは、それらを「消費者に知られると不都合なこと」として、徹底的に隠蔽しようとします。さらには、そのようなものを食べ続けることが不健康なことも隠そうとします。
話題になる商業ゲームの多くは、人や動物への暴力シーンや殺傷シーン、物の破壊シーンなどの過激なシーンが、ゲームの仮想世界内で連続的に繰り広げられます。このような、仮想世界内で行われている主人公(ゲーマー)の行為の一つひとつは、人として悪い行いです。それでもゲーマーは、「仮想世界内での行いだから問題ない」と開き直りますが、人の心理というものは、そう都合の良いものではなく、没入していた仮想世界で行っていた事を、少しずつ現実世界でも実現したいという気持ちを抱くようになります。一部の人は、それがエスカレートした結果、いじめや犯罪行為に及ぶこともあります。さらに、商業ゲーム自体も、ハードウェアに必要不可欠な半導体などの部品の製造にレアメタルやレアアースが使用され、それらの採掘が、発展途上国での搾取労働で支えられている実態があるのです。しかし、商業ゲームをプレイする人の多くは、そのような現実世界の諸問題には目を向けようとはせず、自らのゲームへの没入をなにより最優先し、そのような身勝手を正当化するのです。これが、商業ゲームへの没入(のめり込み)が究極的な無知・搾取といわれる所以です。さらに、先述のマクドナルドは、商業ゲームとコラボキャンペーンを行うことで、相互に依存に陥れ、相乗効果を得ようともしています。
以上のことから、マクドナルドにも商業ゲームにも、その存在の根底には、差別や搾取といった不公平の容認があることがわかります。今月が強化月間となっているあらゆる不当な差別を根本から根絶するためだというのが、銀鮒の里がこれらに強く反対し、禁止をする主要な理由の一つとなっているのです。
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