イセ食品倒産関連の連鎖倒産が25日、三重県伊賀市で起こりました。倒産したのは、イセ食品のグループ会社で、同社のケージ卵ブランド「森のたまご」「伊勢の卵」を生産するケージ採卵養鶏事業会社の有限会社伊勢農場(三重県伊賀市諏訪千谷2600;代表者:伊勢 彦信)です。負債総額は約30億円(うち、金融債権者に対する金融債務が約3億円)とみられています。帝国データバンクによりますと、倒産に至った経緯として、飼料価格の高騰と卵価の低迷による収益性の低下で経営難に陥ったと説明していますが、これは、「卵は物価の優等生」だという、もはや日本だけの搾取的な価値観を根本からなくし、一刻も早くフリーレンジなどのEU水準のアニマルウェルフェア基準に基づく養鶏に転換するか、事業そのものをヴィーガン食品事業などの畜産の対極にある事業に転換しないかぎり、お先真っ暗であることを意味しています。
イセ食品の会社更生手続き開始
同じく25日、イセ食品(※倒産;東京都千代田区)母体の会社更生手続きの開始が正式に決定されました。子会社の伊勢農場の会社更生法は、その更生手続きの一環として申し立てられたものです。また、債権者などから問題視され、売却による返済資金化を催促されていた伊勢前会長の趣味「美術品伊勢コレクション」も、オークションで数十億円規模での売却の見通しがあると、前会長は説明しているといいます。しかしながら、453億円という巨額倒産にあっては、数十億の売却益も雀の涙程度であり、また、既存の大規模ケージ養鶏からの速やかな事業形態の転換も容易ではなく、今後、同様のグループ会社の連鎖倒産は不可避とみられます。
トヨタグループへの責任追及の動きも
イセ食品の再建スポンサーとして最も有力視されているひとつは、トヨタグループの商社である豊田通商(名古屋市)が挙げられていますが、その理由は、これまでに、大規模ケージ採卵養鶏事業会社「エッグドリーム」事業の立ち上げに関して、イセ食品に対して合弁主体として巨額の投資をしてきたにもかかわらず、その投資を「豊田通商の事業全体としてはきわめて小さい存在」だと説明しているほどの実績と財務力を有しているからです。21日の記事にあるように、トヨタグループの中核を成す企業は、全業種日本一の売上を誇り、人口40万人超の愛知県の中核市を動かすだけの力をもつトヨタ自動車(愛知県豊田市)です。トヨタ自動車が輸送機器というエネルギー消費負荷メーカーとして、水素自動車などで低炭素社会の実現の社会的責任を負っていることは、誰しも知るところですが、同じトヨタグループの中では、地球温暖化を促進する主因のひとつとして指摘されている畜産事業に大規模投資するという矛盾した実態があるわけです。他社であるとはいえ、社会的影響力が大きい同じトヨタグループの中核企業のトヨタ自動車の説明責任追及の動きも出るとみられ、その対応次第では、トヨタグループ全体のESG不買運動に発展する可能性もあると、警鐘を鳴らします。
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