神東塗料、水道管用塗料の検査不正
塗料中堅の神東塗料(兵庫県尼崎市)では、鋳鉄水道管の防錆防食用塗料で検査不正が発覚、公益社団法人日本水道協会が指定する試験検査規格(JWWA K139)を逸脱した試験方法と、同規格の指定外原料の使用で、同規格の認証を取得していた。神東塗料は、現在、同協会の指導のもと、特別調査委員会を設置し、不正の詳細に関する実態調査と真相究明、不正に関わった製品の使用による安全性への影響の検証に取り組んでいるとしている。
●神東塗料によるIR報告
https://www.shintopaint.co.jp/ir/pdf/news/1643599974.pdf
東レは樹脂素材の難燃性能偽装
三井財閥系の合成樹脂素材大手、東レ(東京都中央区・大阪市)は、Underwriters Laboratoriesの規格であるUL94に定める難燃性試験において、実際とは異なるサンプルを提示していたこと、さらに、それらのうち一部の製品に関しては、実際にUL94が要求する安全規格に満たない品質であったことが判明した。東レは、ULの定める安全性規格に満たない製品の顧客に対して、1月初旬から事情を説明のうえ、対応を協議しており、ULに対しても報告しているとしている。さらに、現在のところ、品質偽装に伴う事故の事例報告はないものの、今後も継続して、実態を調査していくとしている。
●東レによるIR報告
化学業界にはびこる派遣依存体質も根本原因か
派遣などの非正規雇用は、低コストで労働力が得られ、契約解除(クビ切り)の規制が緩いことから、化学業界では多くなっている。言い換えれば、非正規雇用の従業員は、正社員とは異なり、とくにその企業への思い入れがない他人事(やらされている)体質になりがちであり、技術レベルも自社製品への誇り(プライド)も正社員よりも低くなりがちとされている。そのため、ミスも起こりやすい状況だ。派遣を受け入れる企業の側が、高コストになることや、派遣が正社員超えすることを嫌い、高度な技術や倫理観を持つ労働者の受け入れを意図的に拒否することも多い。これら2社についての詳細は不明であるものの、派遣依存体質は化学業界全体にはびこっていることから考えても、そのことが原因になっている可能性も否めない。もはや現在の日本には、昭和の頃のような正直なものづくりの印象はなく、労働力の買い叩きが、ものづくりへのプライドそのものを駄目にしている。もはや中国と同等以下だという批判すらある状況だ。このままでよいのか、他人事ではなく、ユーザーの立場であっても、今はまさに、一人ひとりが主体的に考えるときである。
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