カンピロバクター食中毒相次ぐ:この1ヶ月内で愛媛・京都で

鶏肉の生食が原因のカンピロバクター食中毒が相次いでいます。5月10日には、愛媛県松山市の飲食店で提供された鶏のたたきを、5月24日には、京都府京田辺市の飲食店で提供された鶏もも肉の刺身・鶏ささみのユッケその他未加熱もしくは加熱不十分の鶏肉を原因とするカンピロバクター食中毒が発生しています。カンピロバクター食中毒の確定・発表には、原因食品の摂食があった日から起算して1〜2週間程度を要するとされ、確定し次第、事故があった飲食店の営業停止処分が行われています。

地方保健所のジレンマ「取り締まりたいが、指導しかできない」

飲食店等における、そのまま食する料理としての生牛レバーの提供は、食品衛生法で明らかに禁止されていますが、同じく、生もしくは加熱不十分の鶏肉の提供については、同法には禁止の規定がありません。これが、飲食店での鶏肉の刺身やたたきの提供がなくならない原因なのです。以前の記事で、厚生労働省は、カンピロバクター食中毒の原因食品として指摘されている生もしくは加熱不十分の鶏肉の提供について、食品衛生法で禁止を明文化するには、エビデンスがまだまだ不十分であると説明していることを取り上げましたが、大阪市と豊中市の保健所に直接取材を行った際、両保健当局は、「食品衛生法で禁止が明文化されていない以上、保健所の権限で規制することはできないのです。しかし、鶏肉の生食によるカンピロバクター食中毒の問題は重く受けとめており、生もしくは加熱不十分の鶏肉は原則として提供しないよう、『自主的な指導』には最大限に努めています」と、規制したいのに規制できないという、役所特有の板挟みで苦しい胸のうちを語っていました。

リスク管理が関わるあらゆる法律に関しては、予防の原則の考え方が重要になります。実際にも、ほとんどの生鶏肉がカンピロバクターで汚染(保菌)されているにもかかわらず、厚生労働省は「エビデンス不十分」として、生もしくは加熱不十分の鶏肉の提供を規制の対象外としているのです。ふなあん市民運動メディアでは、現状ではエビデンスが不十分であっても、複数の事故事例があり、公衆衛生の維持の観点から規制が必要であると客観的に認められる原因食品については、(生牛レバーと同様に)速やかに規制すべきであると考えます。今回の度重なる事故事例や、地方保健当局がおかれている現状を踏まえて、厚生労働省に再度、カンピロバクター食中毒予防のための生もしくは加熱不十分の鶏肉の提供を、牛レバーと同様に禁止するように、食品衛生法を改正するよう、あらためて政策提言を行っていく予定です。

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